所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
31 / 193

26二人の女神

しおりを挟む


かつて戦争時代の三女神の二人が目の前に。


「このような姿で無礼であるが、許してくれ」

「緊急事態だったのでな」


二国のツートップに言われれば文句なんて言えるはずがない。
隣国に至っては未だに国王と同等の権力を持ち将軍でもあるミカエラ様に頭が上がらない大臣は多いのだ。

爵位も持たない私が断れるはずもない。


「王妃陛下、この度は…」

「無礼講じゃ。この場で堅苦しい礼儀はいらぬ…ただ乱暴な真似をしたことを許してもらいたい。レグルス殿下」

「いえ、私は…」

「この度の行動に感謝いたします。貴方があの時に内々で手紙を出してくださったので急いで帰国することができました」


私が知らない話だわ。
レオは王妃陛下に私の事で手紙のやり取りをしていたということ?


何時から?


「運命という言葉は嫌いだが…二人は運命の女神がめぐり合わせたのだろう」

「どういうことでしょうか」


「レグルス殿下の名誉の為に教えておこう…リゼと出会ったのは偶然だ。だがレグルス殿下は君を知っていたというか…ずっと昔から好意を持っていたがな」

「王妃陛下!」

「まったく小心者めが…肖像画の中の姫に恋をして身を焦がしていたんだよ」

肖像画の中の私?


「後は、音楽祭で竪琴を奏で、戦場では戦死した者の為に歌っていただろう」

「はっ…はい」


「息子と君は幼少期に一度会っている…まぁ息子は私に似ずに内気過ぎたのだ。その時に声もかけらえなかったたので花だけ匿名希望で贈ったんだ」


匿名希望の花ってまさか…


「母上、王妃陛下。もう止めてください」

「ミカエラ。そなたの息子は随分と純粋じゃな」

「誰に似たのか。私は肉食系だったのに…これは夫の血だな」

不敵に笑うお二人は既に敬称も敬語もなく。
言ってみれば長年の付き合いの悪友という感じだった。


「この二人…いや、三女神がそろうとろくでもないことになるんだ」

遠い目をするレオ。
余程苦労をさせられたのだろうか。


「まったくこれだから男というものは」

「軟弱だ…だが息子はこう見えて潔癖症だから浮気はしない。将来も安泰だ。悪い離すではないと思うのだが」

「はい?」


「そもそも正式な婚約者は我が息子だったのだ。これでポンと元通りだ…君が嫌でなければだが。嫌なら良い縁談を紹介しよう。我が国の王太子か、それとも宰相の息子…なんだったら辺境侯爵で今は近衛騎士の団長がいるのだが独身だ」


「あっ…あの」

何で全員高位貴族限定?
しかも近衛騎士の団長って…ハイレベル過ぎる!


「母上!」

「致し方なかろう。我が国でならば最低でも公爵の地位を持つか王族が最低レベルだ。侯爵以下等論外だ」

知らなかった母の秘密を知り、私の立場はそんなに重いのかと察したが…

「まぁ、大公殿が許さんだろう。大事な孫娘がしょうもない男の婚約者になれば、今回の二の舞になる」

「…というか大公殿に剣術でボコボコにされるだろうな…その辺の男では」


まだ見ぬ祖父はそんなに恐ろしい方なのか。


会うのが不安になるのだけど、その前に確認したい。

「あの…私が隣国に行くのは決定事項なのでしょうか」

「無理強いはしないが、その場合寄生虫が群がり元の鞘に戻るか?補足すればあの最低男と復縁させられる可能性がある」

「えっ…」


「私が命じたとしてもあの手この手を使うだろう。まぁその時は兄君が奴らを殺しまくるが」

「なんとも頼もしいな!」



笑えない。
地獄絵図の出来上がりじゃないか!



しおりを挟む
感想 593

あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

【完結】16わたしも愛人を作ります。

華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、 惨めで生きているのが疲れたマリカ。 第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、

元平民の義妹は私の婚約者を狙っている

カレイ
恋愛
 伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。  最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。 「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。  そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。  そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。

10年前の婚約破棄を取り消すことはできますか?

岡暁舟
恋愛
「フラン。私はあれから大人になった。あの時はまだ若かったから……君のことを一番に考えていなかった。もう一度やり直さないか?」 10年前、婚約破棄を突きつけて辺境送りにさせた張本人が訪ねてきました。私の答えは……そんなの初めから決まっていますね。

とある令嬢の勘違いに巻き込まれて、想いを寄せていた子息と婚約を解消することになったのですが、そこにも勘違いが潜んでいたようです

珠宮さくら
恋愛
ジュリア・レオミュールは、想いを寄せている子息と婚約したことを両親に聞いたはずが、その子息と婚約したと触れ回っている令嬢がいて混乱することになった。 令嬢の勘違いだと誰もが思っていたが、その勘違いの始まりが最近ではなかったことに気づいたのは、ジュリアだけだった。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

処理中です...