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閑話 王妃の怒り④
しおりを挟むあの後サリオンを拘束したまま、王妃は学園長を呼び出し手続きを行った。
「学園長、この度の一件はまことに遺憾である」
「申し訳ございません。この度は…」
「謝罪は不要じゃ。以前から学園の問題は聞かされていた…だが、警備は何をしていた」
学園の方針で生徒の自主性を高めるために教師は必要以上は手を出さないことを徹底していたが、王妃は手は出さないにしても警備を強化し最悪な事態にならないようにと命じていた。
王妃自身も多忙で常に学園の事に目を配れない現状であった。
「いかに彼女が警備責任の肩書があろうとも、あんなもの生徒会の仕事変わらぬ。虐め問題にかんしても彼女が背負う問題ではない…私は校則に関して見直せと思うしたはずだ。過度な差別を行うならば相応の裁きをな」
「すべては私の…」
「もうよい。そんな謝罪は意味がない。今後についてじゃ」
謝っても意味がない。
王妃はリーゼロッテがすべてを負わされてしまったことに胸を痛めた。
「ここで注意など無意味だと解っているな?生徒達は反省するふりをしてまた繰り返す。厳しい沙汰が必要だ」
「今回は保護者にご連絡した後に例の虐めにかかわった生徒は厳罰に処分せよ」
「処分でございますか」
「ああ」
王妃の言葉に意図を図りかねているようだったが、僅かな時間思案した後に気づく。
「承知しました」
「今後このようなことがあってはならぬ。学園内で殺人事件など」
「はい」
学園長が去った後に、入れ替えで傍付きの女性騎士が部屋に入ってくる。
「陛下…」
「守備はどうじゃ」
「仰せのままに」
女性騎士の言葉ににやりと笑う。
「この度の事件は既に学園で問題になっておる…情報はばらまいたか」
「はい。新聞部に流してあります。他の生徒にも程々…」
「それでよい。過度に流せば故意的だと思われる」
王妃は、今回の事件を隠すどころか公にするつもりだった。
既に生徒の半数が現場を目撃しているので隠すことは難しいのだが、当初はリーゼロッテの名誉の為に隠すべきだと思ったが人の口に戸は立てられない。
ならば噂を公にして、関わらったものを厳しく罰そうと思った。
かくまで大人達は手を出してないように思わせるようにしてだ。
「映像データーはあるな」
「はい、しっかりと」
「では、現況となる馬鹿の親にも送ってやるとよい。もちろん匿名希望でな?そうだ、静観して笑っていたもの、偽りの噂を流した連中にもこの映像を送ってやれ…お茶会の余興でな!」
映像の中にはステラの虐めの証拠だけではなくリーゼロッテが学校を休んでいる間にあることないこと吹き込み、尚且つリーゼロッテを陥れようとした生徒の悪事も映像データーに残っていた。
「貴族とは世間体を最も嫌がる。特に婚約者が騎士であればな?」
王妃は不正を許さない。
道から外れる行為をして何のお咎めもないなんて許すはずがない。
これまでも遠回しに注意を促した。
だが取り合わなかった親達に強硬手段に出ることにしたのだ。
「人を痛めつけたのだから自分も痛い目に合えばよい」
正義の女神を怒らせてしまった彼らはこの後悲劇が襲うのだった。
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