所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
20 / 189

19隣国の事情

しおりを挟む




隣国のカリスタ王国は決して貧しい国ではない。
むしろ他国よりも資材となる宝石や真珠は豊作で作物も不作はほとんど見られない。

何より、厳しい法律の元、貴族であれ王族であれちゃんと裁かれる。
他国ではまずありえないのだ。

その起源を作ったのがミカエラ様の代だった。


なので以外としか言いようがない。

「やっぱりこの歯ごたえだな」

「母上…」

バリバリとカンパンを食べている。
周りの豪華絢爛なお菓子に目もくれることもないのだ。


「最近の若い者は貧弱な菓子ばかり食べているから軟弱なのだ。戦場で菓子を食べても満腹にならん」

「母上、お願いですからこれ以上は…」

「解っていましたが。頭が痛いですわ」


あの鬼軍曹をひるませるなんて、なんて恐ろしい方なの!

「どうした食べぬのか?君も好きであろう…堅いビスケット」

「え?」

何故知っているのかしら?
私はお茶会で出される生クリームたっぷりのお菓子よりも、ビスケットや甘すぎないパイを好んでいたのを。


「シャルも好きだったからな」

どうして母の愛称を?

いいえ、名前が同じだけかもしれない。


「シャル…いや、シャルロッテ・シネンシアは私の友でな」

「なっ…」


思わず声を上げそうになった。
本当にお母様だったなんて思わなかったのだ。



「私がまだ王女だった頃に彼女は不良王女の私の話し相手として招かれたんだ」

「そうだったのですか…」

「これはオフレコだ」


既に私に話している時点でオフレコにならないのでは?とも思ったのだけど。


「シャルは聡明で気品にあふれていてな!私よりも王女らしかったぞ!ははは!」

「奥様…」

「そう怒るでない。事実だ!」

なんとも豪快な方だわ。
飾り気がなくて、少し強引だけど嫌いじゃない。


むしろ好きかもしれない。


「独身時代によく話したものだ。この世の乱れは男の甲斐性無し故だと。だから私達の時代で変えようと…そしたら本当にそうなったんだ」

「笑いごとですか」

「過去は振り返らない。それが私のモットーだ」



どうやら細かいことをあまり気にしないのはお母様と同じだったようだ。
幼い頃の記憶の中しかないけど、お母様はかなり大らかだったと聞くけど、もしかしたらミカエラ様が影響していたりしてたりして…なんて失礼なことを考えてしまった。


「私が王女から王太女をすっとばして期限付きの女王になってしまってな!」

「はい?」

「普通はありえんだろうな!だが、立て続けに男が早死にすることが多くてな。王族の中でも医者いらずの私に白羽の矢が立ったんだが…まぁ政治に関しては疎かったので君の母上に手助けして貰ったんだ」

それは初耳だ。
というかいいのかそんなことをして。

「シャル以外は手が負えなかったと言うべきか」


当時のカリスタ国の重鎮に少し物申したいわ。
他国の令嬢にそんなことを任せていいのかと突っ込みたいところだったが。


「まぁ、シャルロッテは大公閣下のご息女だったからある意味適任だったがな」



とんでもないことを聞かされた。


しおりを挟む
感想 588

あなたにおすすめの小説

【完結】高嶺の花がいなくなった日。

恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。 清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。 婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。 ※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。

素直になるのが遅すぎた

gacchi
恋愛
王女はいらだっていた。幼馴染の公爵令息シャルルに。婚約者の子爵令嬢ローズマリーを侮辱し続けておきながら、実は大好きだとぬかす大馬鹿に。いい加減にしないと後悔するわよ、そう何度言っただろう。その忠告を聞かなかったことで、シャルルは後悔し続けることになる。

初めから離婚ありきの結婚ですよ

ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。 嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。 ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ! ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。

始まりはよくある婚約破棄のように

メカ喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」 学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。 ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。 第一章「婚約者編」 第二章「お見合い編(過去)」 第三章「結婚編」 第四章「出産・育児編」 第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始

婚約破棄は十年前になされたでしょう?

こうやさい
恋愛
 王太子殿下は最愛の婚約者に向かい、求婚をした。  婚約者の返事は……。  「殿下ざまぁを書きたかったのにだんだんとかわいそうになってくる現象に名前をつけたい」「同情」「(ぽん)」的な話です(謎)。  ツンデレって冷静に考えるとうっとうしいだけって話かつまり。  本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

リアンの白い雪

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。 いつもの日常の、些細な出来事。 仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。 だがその後、二人の関係は一変してしまう。 辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。 記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。 二人の未来は? ※全15話 ※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。 (全話投稿完了後、開ける予定です) ※1/29 完結しました。 感想欄を開けさせていただきます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

貴族の爵位って面倒ね。

しゃーりん
恋愛
ホリーは公爵令嬢だった母と男爵令息だった父との間に生まれた男爵令嬢。 両親はとても仲が良くて弟も可愛くて、とても幸せだった。 だけど、母の運命を変えた学園に入学する歳になって…… 覚悟してたけど、男爵令嬢って私だけじゃないのにどうして? 理不尽な嫌がらせに助けてくれる人もいないの? ホリーが嫌がらせされる原因は母の元婚約者の息子の指示で… 嫌がらせがきっかけで自国の貴族との縁が難しくなったホリーが隣国の貴族と幸せになるお話です。

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい

春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。 そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか? 婚約者が不貞をしたのは私のせいで、 婚約破棄を命じられたのも私のせいですって? うふふ。面白いことを仰いますわね。 ※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

処理中です...