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12奇跡の出会い
しおりを挟む私は運命なんて信じていなかった。
その人の生き方を天がすべてを決めただなんて思いたくなかったし、決められた道だからと諦めるなんてしたくない。
自分の運命を決めるのは神様じゃない。
運命は自分で切り開くものだと思っていたけど。
「貴方との出会いは運命だったのかもしれません」
「俺と君が?」
「はい、神様はきっと諦めかけた運命の道を開くために」
レオとの出会いは運命のように感じたの。
だから今の私を好きだと思えた。
「あの日、貴方に出会わなかったら私は行動できなかったでしょう」
アグネスと決別する道。
キャンベルさんの嫌がらせを止められない自分を後悔して過ごすことになった。
「君はどうしてこうも強いんだ」
「え?」
私が強い?
決断するのが遅すぎた私が何故?
「私がですか」
「ああ、リゼは強い。君は誰よりも強く美しい」
「なっ…」
真剣な目でそんなことを。
「冗談が過ぎるわ」
「俺はそんな冗談は言わない君は美しい。誰よりも」
これが社交辞令ならばスルーできたけど、あいにく私を美しいという殿方はいない。
身内を除いては私を美しいなんていう人は皆無だわ。
婚約者だったサリオンにいたってが常にアグネスを見習え、アグネスのように美しく着飾れと言われてきた。
けれど、辺境地に住まう貴族は必要がない場合は過度な装いはしない。
私達は戦士でもあり、国を防衛する役目が優先される。
王都と違って厳しい環境で領民の生活を守りながら国を外敵から守らなくてはならない。
その為贅沢はあまりしないのだから。
だから貧しいと思われがちだった。
王都と辺境地の違いなのだけど。
私達は国が戦争する時になった時に備えなくてはならない。
ケチなわけではないのだけど周りは領地が貧しいと思われ、軽んじられていたのだ。
「見る目がないな。他の男は…見せかけだけの美しさなんてすぐ剝がれるだろうに」
「レオ?」
「醜い姿を隠せるのは一時的だ。見た目だけ繕った美しさに意味はない」
そんなことを言われてしまったら…
私は――。
「レオ、あまり私を甘やかさないでください」
「事実だ。俺はお世辞は得意じゃない」
「そろそろ手を離してください」
優しくも力強く、気恥ずかしさで手を振りほどこうとしたけどできなかった。
「俺にこうされるのは嫌?」
「嫌っていうか…こんな風に握られたことがなくて」
「は?」
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なんていうか、この手の握り方は…
恥ずかしすぎて声にできない。
これは恋人握りというものではないかしら?
でもレオにはそんなつもりがないかもしれない。
そうだわ。
きっとそうだわ!
うん、そうに決まっているわ。
自分にしっかり言い聞かせる中、レオは険しい表情で私を見ながら再び私の名前を呼んだ。
「リゼ、俺の質問に答えてくれる?言いにくかったら言わなくていい」
「はい?」
「君とあの男の事でだ」
私とサリオンの何を聞きたいのかと思いながらもレオの質問に答えることにしたが…
「男として人として認められるか!」
テーブルを乱暴に叩き怒りだしてしまった。
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