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6心の叫び
しおりを挟む大切なのは一歩踏み出す勇気。
私はずっと誰かに背を押して欲しかったのかもしれない。
だからこそ、私は踏み出した。
きっと彼女も踏み出す為に誰かに背を押して欲しいと思うのは傲慢かもしれない。
でも――。
「私はしてません」
か細い声だった。
だけど私の耳にしっかりと入ったのだ。
「私は噂のような不義は働いていません。この学園の名を汚す行為は何一つと」
「なっ…」
「ふざけるな!」
しっかりとした声で言い放つキャンベルさんに真っ先に否定した二人だったけど。
「ふざけているのはどっちなの?真実を確かめるなら学園内の防犯装置を確認しましょう」
「え?」
「彼女は一度でも男子生徒と二人きりになったことはありません」
これは事実だわ。
事前に学園内の警備員、用務員に確認させている。
「この証言は第三者によるものです。彼女は潔白を告白しています」
「何を言ってますの!彼女は現に生徒会の皆さんをたぶらかして…」
「生徒会の皆さんは我が校の代表生徒です。そんなうかつな真似をするとしたら、彼らに問題がありますわ…何故なら彼女は転入生で何も存じないのですから?」
「そっ…」
「彼女は本年度の代表生徒。代表生徒の彼女を袋叩きにして学園から追い出せばどうなります」
「でも!」
今まであえて言わなかった。
彼女達を刺激するべきではないと思った私が馬鹿だった。
中立側と思っていたけど私はなんて傲慢な真似をしたのか。
「ではこの場にいる皆様にお聞きします。我が校は実力主義です。この学園に入るのは簡単でしたか?」
「そんなはずないだろ」
「この学園に入るのにどれだけ苦労したか」
「そうよ!」
学科、実技。
すべてをクリアするのにどれだけ大変か。
「特待生に入る生徒は私達よりもずっと厳しい条件があります。一度でも基準点を満たせなかったら即退学ですわ」
「えっ…」
「彼女が男子生徒と遊んでいる暇はありましょうか…それとも彼女は他人と会話もするなと?」
生徒会の最初の仕事は雑用から入る。
会話をしないで雑用をこなすのは不可能だわ。
「アグネス様、我らの王太子殿下は困っている転入生を見て見ぬふりをする方ですか」
「それは…」
「私が知る限り殿下は冷酷な方ではありません」
直接のかかわりはない。
けれど、努力家で真面目な方だとお兄様から伺っていた。
「私は間違っていました。彼女の境遇を早々に学園長に報告すべきでした」
「何を…」
「キャンベルさんが嫌がらせを受けている事実。そして未然にふぜげなかった私の責任を」
私の言葉に真っ青な表情をする生徒達。
口をつぐむ者たち。
自分の非を認めず、逃げようとする者。
多くいる。
だけどあの二人は私を睨みつけた。
まるで自分は悪くないと言いたげだった。
「ふざけるな!貴様ぁぁぁ!」
サリオンは怒りのまま私の胸倉をつかみ私の頭を鷲掴みにして地面にたたきつけた。
「うっ!」
「裏切者が!」
怒りで我を失っているのか、それともこれが彼の本性なのか解らない。
「やっ…止めてください!」
「触るな民草が!」
唯一キャンベルさんが止めに入ってくれたのは解ったが地面にたたきつけられた後に頭を殴られた痛みで意識が遠のく最中。
「リゼ!」
声が聞こえた。
レオの声だった。
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