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第三章
44その後
しおりを挟む最後にオレリアに会ってから私は彼女に会うことはなかった。
どうしているかも知らない。
知る手段はないけど、予定通り二人は結婚をしたそうだ。
牢獄を出た後は田舎で二人だけの生活をするそうだ。
勿論自給自足だ。
前ジュレイド侯爵夫人は田舎で静かな暮らしをしているそうだ。
その後どうなったか手紙をもらった。
オレリアの両親は何もかも失い助けてくれる人はおらず結局離縁したとか。
双方ともに助けてくれる友人はおらず、今回の事で絶縁状態だった。
生きているとは思うけど。
もっと大変なのはフォーカス家かもしれない。
「あの家は揃って永久労働にでもなればよかったのに」
「エレーナ様…」
「私の研究の実験にもならないのだから」
片手にフラスコ。
黒い液体が沸騰している。
「まぁとりあえずお飲みください殿下」
「待て待て、それを飲むのか…私が飲むのか!」
「殿下、男を見せてください」
「見せたら確実に死ぬだろう」
今日も絶好調だな、エレーナ様。
そして殿下、どんまい!
「哀れだな」
「仕方ありません。モルモットに立候補したのだから」
事件が一応落ち着いたころ。
エレーナ様に縁談が持ちかかった。
お相手は下級貴族でエレーナ様の仕事にも理解のある人だった。
しかしここで殿下が納得するわけもなく。
「エレーナ!本気か」
「まぁ」
「乗り気なのか!」
「私のモルモットになってくれるそうなので。基本研究の邪魔をしないなら身分容姿は問いません」
いや、無理だろう。
この場にいる全員が思ったのだが――。
「だったら俺がなる!」
「おい、リシウス!」
「殿下、それは自殺行為です」
普通に考えて無理だろ。
毒物も実験しているのに一国の王子が研究の実験台何て許されない。
「大丈夫だ!」
「死ぬぞ、お前」
なんとしてもエレーナ様の縁談を握りつぶしたかったようだ。
結局専属のモルモットになる事で妥協をした。
そんでもって告白をしたのだ。
「一生エレーナの実験に付き合う」
「そうですか。ではお願いします」
プロポーズに近かったが、何とも色気のないプロポーズだ。
そして現在に至る。
「約束はお守りくださいね」
「はっ…はい」
デッドアンドデッドだわ。
死の選択しか存在しない!
だけどある意味幸せなのだからいいのかしらね?
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