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第三章
42対面
しおりを挟む殺意を隠すことなく私に向かってくるオレリア。
ある程度は想像していたけど、椅子に座ったので話をする気になったのだと思った。
「一応は貴女は罪人だから、話をするには必要なの」
「話って何よ…」
「どうしても聞きたいことがある」
未だに私を睨みつけるオレリアに私は素直に尋ねた。
「どうしてこんなことをしたの?」
「は?」
「どうしてもわからない。私がそんなに嫌いだった?だとしても得策じゃないはメリットがない」
オレリアが私を毛嫌いしていたのならもっと他の方法がある。
例えば権力を使ってクレイン家に嫌がらせをするか私の不貞行為をでっちあげた方が早い。
「私を追い詰める方法はあったはずよ」
「そんなの…」
「私よりもずっと恵まれた環境なのにどうして?」
侯爵令嬢という立場を手放して、私を追い詰めることに執着する理由を聞きたかった。
「そういうところがムカつくのよ!」
「おい!暴れるな!」
「大丈夫ですわ。手を離してくださる?」
監視役がオレリアを押さえつけるもガラスの壁で私に手を出すことはできないので止める。
「ずっと…ずっと全部持ってて!」
「全部?」
「そうよ!」
オレリアは顔を歪目で吐き捨てるように言い放つ。
「両親からの愛情も、友人も…周りの人からの信頼も全部あるじゃない!」
ガラスの壁を殴りながら告げたのはオレリアの苦しみだった。
どんなに裕福でも、両親の仲は決して良くなかった。
「誕生日に仕事を休んでくれるような父親じゃない!私に関心がない母親に、いつも私を冷めた目で見て呆れる祖母…なのにアンタは!」
「すべてを持っているわけないわ…イベントは傍にいてくれても普段はいなかったし」
「でも私よりは大事にされていたわ!だから少し意地悪してやろうと思ったのよ!アンタがロイドを愛していると思って・・だから」
「見せつけようとしたの」
「そうよ。アンタが悔しがれば…なのに!」
私は自分の感情を素直に出す性格じゃない。
その所為でオレリアに誤解をさせた。
「でも無駄だったわ!だってアンタに心はないものね?氷のように冷たい冷酷な女だものね?そんなアンタが公爵夫人…ハッ、笑えるわ」
「自分が何を言っているか解っているのか」
静観していたフィル様が声を上げた。
普段から声を荒げない人だったけど、既に殴りかかる寸前だった。
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