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第三章

39無言の圧力

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ある程度想像していた。
両親に反対されるかもしれないと。

でも、何で宰相閣下達が・・


「キャサリン嬢、聞きましたぞ」

「はい」


現在宰相閣下にて強制お説教中。
ある程度は解っていたけどここまで怒られるとは思っていなかった私は詰めが甘すぎた。


「まったく何を考えているのか」


「公爵夫人もです」

「あの…それは」

「相手は罪人ですぞ!」

口を挟む暇もない。
今回だけはお父様もお母様も味方をしてくれない。

エリー何て最初から味方になる気なんてまったくないし。


「どうか事情をお聞きくださいませ」

「どうせ最後に話をすりたいということでしょう。聞くまでもないですな」

ああ、弁解の余地もないのか。
このままだと折角公爵夫人がお膳立てしてくださったのに無駄になってしまう。


「宰相閣下、私は最後ぐらい知りたかったのです。何故あそこまでオレリアが私を憎んでいるのか」

「知ってどうするのですか」

「どうするって…それは」

「知ってもあの女の罪は消えません。更に侮辱を受けるでしょう」


まぁそうだろうな。
思い出すは前世の断罪のシーン。

断罪され、ヒロインが悪役令嬢を許そうとするのだけど。
自分の非はまるで認めようとしないことから立場をさらに悪くさせたのだから。


まさに自分で自分の首を絞める行為だわ。


でも――。


「きっと彼女は私を責めるでしょう。罵倒浴びせるのは解っているんです」


物語の主人公のように同所するわけじゃない。
オレリアに改心して欲しいなんて馬鹿な事を言うつもりもない。

ましては仏心を持ったわけじゃない。

「ただ知りたいのです。そして最後にこれまでの不満を吐き出したい」

「キャサリン嬢…」

「十年近く私は彼女を支えてきました」


時には厳しく言ったこともある。
オレリアにとって鬱陶しい言葉を吐いたこともある。


だけどここまで恨まれるのは私が嫌いだから?
婚約者を奪って、私に悔しがって欲しいと思ったから?


本当にそれだけだったのかな?


「誰もが望むものを手にしながら何も手に入れられない」

「自業自得だ」

「だとしても本人から直接聞きたいんです。どうかお許しください」


宰相閣下が私を心配してくれているのは解る。

けれど、私も譲る気はないわ。
私の心の中でこの問題をどこかで終わらせたいと思っている。


「ハァー、頑固だな。致し方ない」

「宰相!」


「こうなれば聞かないでしょう…その代わり場所の指定、護衛は10人用意します」


無力の女性に随分な用心だこと。

でもなんとか許しを得ることができて安堵した。




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