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第三章
34天使と悪魔の顔
しおりを挟むチャリティーパーティーでのことを聞かされた私は物申したい。
「公爵夫人恐るべし」
「ああ、普段大人しい人間こそ怒らすと怖いんだな」
長らく病弱で、小柄だから周りは可憐で儚い印象が強い。
そんな方が恐ろしい計画を実行したのだから。
「だが怖いのはその後だ。フォーカス家とジュレイド家への圧力だ」
「既に降格しているではありませんか」
「ジュレイド家の降格はしていないだろう」
確かに、ジュレイド侯爵家と縁を切っているけど。
「本家にも打撃があるな」
関係ないのに、前ジュレイド侯爵夫人はどうなるのだろうか。
「あの方は、隠居だ。辺境地で慎ましやかに過ごされるだろう」
「そんな…」
オレリアに同情する気はない。
でも全く関係ない人までここまで被害が。
「血縁者のすべては連帯責任となる。でなければ示しがつかないからな」
「でも…」
「これでも、まだ情をかけたんだ。男爵の爵位となるが…食べていくことはできる」
食べていけるとしてもこれまでの暮らしとは異なる。
特に前ジュレイド侯爵夫人は高齢で足腰が悪いのに辺境地で過ごされるなんて。
「辛いが彼らはこの方が良かったんだ」
「良かった?」
「彼女がしでかしたことは軽くない」
パーティーでのことがなくても社交界では常に悪意の噂に晒されている親族。
王都を出て辺境地でゼロから始める方がいいのは解る。
私が多く変えてしまったせいで本来ならば傷つかない人が傷ついている。
「君が悪いんじゃない」
「はい…」
「こうなったのはあの二人に責任がある。だが、最悪な結末にならずに済めばよかったんだ」
フィル様も辛そうだった。
でも、これ以上オレリアを社交界に存在させることは危険だからだ。
「裁判に持ち込めば時間がかかる。俺をよく思わない貴族が介入するかもしれない」
とにかく急いでオレリアを王都から追い出したかったのだろう。
私は彼女に対して何も対応してこなかった。
全部人任せだった。
「オレリアはどうしてますか」
「監視されている。北の塔に幽閉状態だ」
他国の貴賓に対して暴行を行った罪で拘束されているそうだ。
ちなみにだが、両親は早々に平民となり隔離されているそうだ。
フォーカス夫妻に関してはロイドと一緒に謹慎となっているが、数日後には貴族籍を抜かれるとのことだ。
でもこのままでは…
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