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第三章
33無慈悲な瞳~公爵夫人side
しおりを挟むこの場にいる客人は皆、私達と親しい物ばかり。
表向きはチャリティーパーティーであるけど、厳選して選んだ方たちばかり。
「随分と無礼な真似をなさるのね」
「えっ?何を…」
「そちらのご令嬢は王妃陛下と懇意にされている方ですわ」
何も解ってないようだわ。
「彼女は王妃陛下の大事なお客様ですわ」
「そっ…そんな。でも!先に…」
「一部始終を見ていましたが、先に暴行を働いたのは貴女のようですわね?我が国の風紀を乱し、息子にストーキング行為をしただけではなく、国際問題をおこすだなんて」
「待ってください!私は…」
「私はそこまで彼方に恨まれていたのですね」
私が涙を浮かべれば周りが私を庇う。
「公爵夫人の慈悲を何だと」
「やはり噂は本当か」
「長年支えてくれた友人の婚約者を誘惑して、その挙句新た婚約者を奪おうとするなんて」
「非常識ですわ」
「人間ではありませんわ」
完全なる四面楚歌。
招待客の中には正教公国の貴族もいるのだから、略奪愛は最も愚かな行為だと思われている。
「息子の婚約者、キャサリン嬢はとても良い方なのです。これ以上大切な嫁を傷つけないでください」
「違います!公爵夫人はあれに騙されて…」
「あれだなんて…何故そんな酷い事を。キャサリン嬢は貴女を庇っていらしたのに」
自分で墓穴を掘ってくれて嬉しいわ。
聖職者の前で踊ってくれたのだから後は簡単ね。
「地味で努力することしか取り柄がない!女性としての華やかさも美しさも何もない…あんな女が王家の仲間入り何て!侮辱もいいですわ…騙されているんです」
「いい加減になさいませ!」
「何よ!」
「品格とは生まれ持って備わるものではありません。そうなろうと努力した者が得られるのですわ」
「くだらない」
解らないでしょうね。
人を大切にしない貴女には一生理解できないでしょう。
心を失ってしまった貴女には。
キャサリン嬢は最後まで貴女に情をかけていたのに一度だって貴女は彼女に振り替えることはしない。
私はそんな人間をたくさん見て来た。
他人に寄生する。
自分の欲望の為だけに。
だからそんな人間は相応の罰を与えるべきだわ。
人の悪意という凶器で精神的に追い詰められればいい。
幸いにも新聞記者もこの場にいるのだから。
翌日、王都新聞であの女が糾弾されたのは言うまでもない。
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