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第三章
28病的な
しおりを挟むロイドはもう社交界で生きていくことはできない。
今回の事は社交界でも噂は出回り、学校新聞でロイドの愚行は下町にも広まるだろう。
そうなると気になるのはオレリアの事だ。
別に心配何てしていないけど、音沙汰もない。
脅迫状に近い手紙は続いているかもしれないけど、その都度エリーが破棄しているだろうし。
私もわざわざ見ていない。
ロイドを法的に潰せば芋づる形式でオレリアも…だから。
「正直彼女は頭がおかしいというよりも病気だと思うんだ」
「何かありました?」
「いや、君は公爵夫人に相応しくない。女が学問に精を出して改革をするなんて傲慢だと的外れな事を…」
「そう来ましたか」
そんなことを言えば、王妃陛下の逆鱗に触れるのが何故解らないの。
もしや追い込まれて本当に気でも触れたのかもしれない。
「まぁ、相応の対応をしたがな」
「そう…申されますと?」
「フォーカス伯爵に直接伝えた…と言っても直接対応したのは母上だが」
「公爵夫人が…ですか」
「ああ、思い出したくもない」
最近お元気になられて外出されるのが増えたと聞くが、社交界には積極的に顔を出しているとか。
「良い意味でも悪い意味でも弱い人間に強く強い人間ん弱いフォーカス伯爵だからな」
思い出すわ。
お父様に強気に出ていながら、いざ自分より少しでも身分が高い貴族にすり寄っていたのだから。
そのくせ、気に入らないことがあれば私に当たり。
お父様を苦しめた過去がある。
「正直あの二人の事は怒っているんだ…本当に怒っている」
「はっ…はい」
「君を侮辱し、俺に付きまとう行為を母上は許さないだろうが」
これ以上先は聞かない方がいいかもしれない。
「女の敵は女とは本当のようだ」
「ようするに公爵夫人がご尽力くださったと」
「そんな甘いものじゃないが…とりあえず彼女は終わった。貴族として生きていくのは難しいな」
「はは…」
笑うしかない。
何があったか知りたいけど知りたくない。
そう思っていたが…
中庭の方でヒステリックな声が響いた。
「いい加減になさいませ!」
「うるさい!私に命令しないで!」
聞き違いであって欲しい。
耳を塞ぎたいとも思ったけど。
「何でオレリアが」
「ああ」
中庭で女子生徒と言い合いをしているのはオレリアだった。
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