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第三章
27どっちが悪人
しおりを挟む後日、号外が発表された。
学校内新聞は学園内に留まることはなかった。
「元婚約者にストーキングの後に暴行!」
「最低最悪の男の末路。健気な令嬢にさらなる追い打ち」
教室でもクラスメイトは新聞を声に出して読み上げていた。
しっかりと私の耳にも入っているけどね!
「本当に最低ですわね」
「ありえませんわ。不貞行為を働き、上手くいかないから更に不貞を働き敵わないなら暴力だなんて」
「殿方は私達女性を何だと思っているのかしら」
「男尊女卑と言っても酷すぎまずわ」
婚約者のいる女性は今回の騒動を知り男に対して嫌悪感を抱いている。
当然かもしれない。
「ちょっと待て!」
「そうだ。俺達も同じと…」
「あら?貴女は以前ジュレイド侯爵令嬢にお熱だったわね」
「貴女はあの屑男と友人だったわね」
オレリアは高位貴族だったことから声をかけられることも少なくなかったし。
侯爵家に仕えていたロイドと友人だった彼らはいい迷惑だろう。
「騎士の婚約者なんて最悪ね」
「そうね、お仕えする令嬢と恋仲になって私達は最後は利用されるのね」
「最低だわ。貴方も同じ考えなのでしょう?」
「待て…」
私はこんなことを望んでいなかったけど。
でも、男尊女卑の世の中で、女性は男性の言いなりで人間以下の扱いを受けているのは確かだ。
婚約が白紙に戻った時、女性側が責められるのは科女性側だ。
男性側が浮気をしたとしてもまともな裁きを受けるず、慰謝料すら支払えないことも多いのだから。
「当然の報いか…」
「フィル様…」
「これまでが甘すぎたんだ」
この国の法律のおかしさ。
甘さがまだまだあるのだから法律もこのままではいけないわ。
「実は今回の私の婚約破棄に関して宰相閣下が問題視されたそうですの」
「それは…まぁ」
「私の時は運が良かったのですが」
「いや良くないぞ。君は怪我をしたんだぞ」
確かに病院送りにされたけど。
婚約解消ができて自由の身になったのだけど。
「本来被害者が泣き寝入りしなくてはならない現状を改善すべきだと」
「以前から訴えていていたが賛同が得られなかったな」
「ええ、ですから私は正式に被害にあった聞き取りをさせて欲しいと」
「嫌だったんじゃないか」
「たいしたことではありません」
私が公にすることで外野は色々言うでしょうけど、これを機会に法律の間違いを正してほしいわ。
「宰相閣下は、男性に有利な法律を変えたいそうです。平等ではないので」
「法律は強い者に対して有利にできているからな」
その当たり前を変えるためにも必要だった。
そういえばオレリアはどうなったのだろうか。
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