伯爵令嬢の受難~当馬も悪役令嬢の友人も辞めて好きに生きることにします!

ユウ

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第三章

20憎い男~フィルベルトside

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今すぐ殺してやりたい。

殺しても殺したりないと思ったのはこの男が初めてだ。

今まで殺意を抱くことはあったがここまでとは。
鞄の中に忍ばせている魔術書を開いてしまいたくなる。


この魔術書で火炙りにしてやりたい。


だが…


俺の手を掴んでいるキャサリンは大丈夫と言っているようだっうた。


「汚い言葉。もういいかしら?」

「何だと」

「耳元でギャーギャー騒がないでください。子供でもここまで馬鹿ではありませんわ」


逆上して暴言を吐く中で、まったく相手にしていなかった。
まるで赤ん坊を相手にする大人だった。


「感情的になって愚かですわね。貴族として以前に騎士としての資格もなかったようですわね?この学園も生徒である資格も」


「貴様ぁぁぁぁ!」


我を失い、襲ってきたが。


「女性に乱暴を働くのは紳士としてアウトだ」

「ぎゃああ!」


最初は見守るつもりだったが、もう黙っていられない。


「フィル様、こんな男程度私でも大丈夫ですわ」

「君を信じていないわけじゃないが。こんな汚らわしい男が君に触れるなんて我慢できない」

「ちゃんと消毒液は用意していますわ。手袋もしてますし」

「人をばい菌扱いをしやがって!」

「ばい菌なんて可愛いモノかしら?」


同感だな。
ばい菌よりもずっと厄介だろう。


「くっ…離せぇぇえ!」

「力で振りほどくのは無理だ。束縛魔法!」


手を離し魔法を使う。
簡単な束縛魔法であるが、高度な魔法ではない。


「束縛魔法の解き方を知らないのですね。幼少期の頃からお勉強しましたのに」

「うるさい!」

「私が教えましたのに。貴方の頭は空っぽなのかしら?」


笑っているの目が笑っていない。
同情はしないが、もし自分だったら絶対に嫌だろうな。

耐えられない。

「この俺に説教をする気か!」

「そんなものしても貴方の頭に入らないでしょう」

「言わせておけばぁぁぁ!」

拘束された状態で暴れるが、身動きが取れなくなる所為で完全に理性を失っていた。


ちらりと見ると口元が笑っている彼女を見てここからが彼女のターンだと理解する。

この許しがたい男への断罪が来れ方始まるのだから。


俺の役目は過度に庇うことでもない。
見守ることなのだから。


今は耐えるしかないだろう。


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