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第三章

14寮母

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連日これでもかというほど手紙が届いていた。
中身を見ることもなく、届いたら燃やすの繰り返しをしていた。


学園に届く手紙に関しては、嫌がらせと脅迫まがいなものは受け付けないようにできるので問題はない。


なのだけど。


「変な男が?」

「はい、一応報告をと思いまして」


寮母さんがたびたび変な男が私の周りをチョロチョロしていると聞かされ、誰かなんてすぐに解った。


「女子寮に男子が入るのは禁止されていますのに…特にこの寮では」

「知らせてくださりありがとうございます」


生徒の寮はクラスによってランクがある。
特に生徒会に入っている生徒は最高峰の寮に入ることが許されセキュリティーもしっかりしているのだ。


「本当に礼儀がない男ですわ」

「ご迷惑をおかけします」

「何をいいますが、元騎士であるこの私の腕にかかれば問題ありませんわ」


見事なまでな上腕二頭筋を見せるこの方は、体は男で心は乙女。
元騎士で現在は学園の寮母さんだ。


戦場で重傷を負った後に戦場に出るのは難しくなり、学園の寮の警護をしているとか。


「それにしてもお嬢は大変ねぇ?」

「あの…そのお嬢というのは」


「だってぇ、フィル坊ちゃんの奥さんなら私にとってはお嬢だわ」

おちゃらけている彼だが。
腕は確かで任務には忠実だ聞かされている。

しかもその昔は近衛騎士だっらしい。


「本当に許可さえああればお嬢の敵はこの筋肉で」

「マッスルボディーはここでは遠慮するわ」

「そう?残念ね」


残念がらないで欲しいわ。
でも、変な護衛よりも頼りになる。


「今日からお嬢の身辺警護もするからよろしくおねがいします」

「こちらこそ」


実は彼をボディーガード、もとい護衛騎士に迎えて欲しいとフィル様に言われたのだ。


ロイドが力づくで私を手籠めにしようとした時のことを考えた配慮だけど。


「流石に学園内で事を起こすとは思えないのだけど」

「甘いですわよ」


エレーナ様にも似たような目をされたけど、私ってそんなに甘いのかしら?


「解ってないですね。ああいう男を」

「そんなことは…」

「あるんですよ。とにかくお嬢は大事な身なんですからね?」

「うっ…解りました」


有無を言わせない笑顔に頷くしかなかった。



その裏で私が知らない所で。



「おい、この変態が!ふざけんじゃねぇぞ」

「待て…俺は」

「おかま舐めてんじゃないわよ!アンタ達お仕置きよ」

「「「ヒーハー!」」」


とある軍団が動いていることに知らずにいた。
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