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第三章
13公爵家の女~フィルベルトside
しおりを挟む殺伐とする空気の中、私達は静かに家族会議を行っていた。
「本当に王族を何だと思っているのかしら?」
「おい…お前」
「フフッ、なめられたものね」
俺に届いたあの女からの手紙を握りしめながら母上が冷たい笑顔を浮かべていた。
いや笑っているが目が笑ってない。
「フィル、まだ動いてはダメよ」
「しかし、これ以上黙っているのも…」
テーブルに置かれている大量の手紙。
オレリア嬢から頻繁に届く恐ろしい手紙だ。
キャサリンの元にも似たような手紙が届いたことを知った瞬間俺は早々に弁護士に連絡して彼を名誉棄損で訴えるつもりだったが、母上に止められたのだ。
「ここで動いても、不敬罪だけになるわ…それに相手は伯爵家」
「子爵家以下ではないと、後々面倒だというのは…」
「我が家は王家、しかも公爵家であるけど、傷つくのはキャサリン様よ」
母上曰く、我が家に怒りの矛先がでるのは問題ない。
たいした被害にはならないからだ。
その一方でクレイン家は違う。
世間は強い方よりも弱い方を叩く傾向になる。
特に一度婚約破棄になっているからこそ世間は彼らを攻撃して楽しむだろう。
「公爵家から命令をして、キャサリンへを…」
「それで注意しても馬鹿は開き直るでしょう…いいえ、むしろ標的をキャサリン様にするのではなくて?」
「ですが、このまま指をくわえて…」
恐らくキャサリンは苦しんでいるはずだ。
とは言え、表立って強気に出れば後々面倒だし、社交界で噂になるだろう。
「私が何もしないでいいると思って?」
「え?」
「床に伏して、少しばかり軽んじられてしまったようね」
怖い。
絶対零の冷たさが部屋を包み込む。
「こういう連中には少しばかりお仕置きをしないと」
「何をするのだ」
「大丈夫ですわ。社会的抹消と‥‥そうね?このまますべての地位を奪って簀巻きにして罪人として島流しもいいけどそれでは足りないわ」
「母上…」
右手に握られているのはあの手紙だ。
我が家では母上が中心に回っていると言っても過言ではない。
その為母上を怒らせたら最後だ。
ただし、滅多に起こることはないのだが、怒らせたら最後だ。
手がつけられないのだ!
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