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第三章
8嫌悪感の塊
しおりを挟む愛を綴った手紙は時として負の産物となる。
「気持ち悪いな」
「気色悪いです」
「触りたくないですわね」
生徒会室にて。
例の手紙を見せると誰もが顔を歪めて気持ち悪いと告げた。
「素手で触るのも嫌ですわね。気持ち悪いですわね…何です?変態ですか」
「私の身近でもこんな気色悪い手紙を書く人はいませんよ。貴族ってこういう嫌がらせが流行しているんですか?もはや愛の手紙ではなく悪意の手紙じゃないですか」
一番酷いぞヒロインよ。
でも、私も似たような考えをしているので口では言えなかった。
「やはり社交界の噂は本当だったか」
「フィル様、どういうことなのでしょうか」
「学園新聞でも載ってないようなくだらない噂だ」
社交界の噂というけど私の耳には入っていない。
おそらくだけどお父様がある程度はシャットアウトしてくれているのかもしれない。
「あれか、馬鹿男が君に未練たらたらで本当に愛しているには君だと言っているんだろう」
「補足しますと真実の愛の相手は馬鹿女はフィルベルト様と…まぁ」
「聞くに堪えない噂だ。これ以上酷いなら侮辱罪として訴えるつもりだ」
オレリアは何所まで頭がおかしくなったの?
既にフォーカス家に嫁ぐことが決定して、花嫁修業もしているはずだ。
一緒に暮らしているというのに。
「大方、フォーカス夫人が言い出したんじゃないのか」
「はい?」
「フォーカス家は火の車だ。そのうえ、寄生虫が増えたんだ」
だからと言って私がロイドと復縁して、オレリアがフィル様と婚約する理由が解らない。
「普通に考えて無理があると思うんですか。頭のネジが緩んでいるのでしょうか」
「セシリア…」
「少し前まで友人の婚約者を略奪して、ポイ捨てして他の男と浮気…気持ち悪いです」
根がまっすぐな性格ゆえに嫌悪感を持つのは当然だわ。
「貴族は婚約をコロコロ変えられるんですか?」
「そんなわけないだろう…まぁ、妻以外に世継ぎ問題で愛人を持つことはあるが」
「それでも婚約中に複数の相手と関係を持つことはまずない」
殿下、必死で否定しているわね。
隣にエレーナ様がいるから、誤解をされたくないのは解るけど。
「どうしてここまでおかしくなったのかしら」
「貞操観念がなさすぎますわ。前から馬鹿だと思ってましたけど」
「エレーナ様」
本当に容赦ないわね。
さらりと真顔で言うと余計きつく聞こえるわ。
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