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第三章

4最強すぎる味方

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私達の婚約は正式に発表されても被害はほとんどなかった。



「普通に考えて手を出すなんて不可能だろうな」

「そーですね」


本当にね。
フィル様と王太子殿下は従兄関係であるし、他の生徒会幹部も学園内で一目置かれる存在だ。


「特にセシリアが傍にいるのだから手は出せないだろう」

「はい?」

「気づいていなかったか?隣のクラスの女子が二名入院した…彼女が君に危害を咥えそうだったので加護返しをしたそうだ」


加護返し。
いわゆる呪い返しと似たようなものだ。


それにしてもそんなことをしていたの?
全く気付かなかったんだけど。


「加護持ちというのは色々厄介だな。味方なのはこれ以上無いほどに心強いが」

「そうですね」


乙女ゲームでもチートな能力を発揮するものね?
それに彼女はこの世界で唯一無二の存在である光の魔力の持ち主だ。


「王族も彼女を手放したくないだろうが…彼女は飼い殺しされるほど弱くない」

「嫌だと思った殺されても従いませんわ」


前世ではもっと健気で儚げと感じたけど。
今はまるで逆だわ。

欲望に忠実だし。

まぁ、悪い方向に進んでいないのだから。


「だが、心強いだろう」

「そうですね」


味方である以上はこれ以上無いほどに心強い。
最近はエレーナ様の実験に付き合って危険な研究をも始めたとか聞く。


「最強タッグを組まれてしまったか」

「少し怖いですけど」


あの二人が手を組むなんて、最強ならぬ最凶じゃない?

天然危険物が手を組むなんて誰も止められないわ。


「フィル様?」


「キャシー、本当に何もないのか?」


いきなり私の手を握り立ち止まるフィル様はとても不安な表情をした。


「あの男からアクションはないのだろうか」

「私をお疑いですか」

「そうじゃない。だが、社交界で少しばかり良くない噂を耳にした…なんでも君に未練があるとか」

「ないですね」


「そんなきまっぱりと…」


天地がひっくり返ってもありえないわ。

「フィル様もご存じでしょう?あの方は私を嫌っています。怪我を負わせても謝らず罵倒を浴びせる程に。邪魔なのです。目障りなのです…この私が」


社交界でそんな噂が流れているとしたら、フィル様の婚約者に相応しくないと思っている令嬢が流したのだろう。


「それに私は出家しても彼の元に戻りたくありません。生き地獄です」

「そっ…そうか」


私は幸せになると決めたのだから。

その為にも彼と復縁なんてありえないわ。


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