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第三章
1新たな婚約と勘違い
しおりを挟む知らない所で私達の婚約は正式なものとなった。
フィルベルト様の気持ちにこたえるべく私達はこっそり薔薇の儀式を行った。
学園内で有名な話だ。
あの秘密の庭園で薔薇を交換する。
男性側からは赤い薔薇を送り、女性側は白い薔薇を送る。
互いに愛を誓う神聖なる儀式で、学園でこの儀式をした男女が遠泳に結ばれると言われている。
――なのだが。
「何で新聞に…王都月刊にも」
「流石スッポン親子」
ここまで抜かれるとは思わなかった。
というか公爵家はどう思っているのか解らないわ。
そうよ、ここまで大っぴらにして。
「これも言い忘れたが、ここまで大げさにしたのは父の仕業だ」
「王弟殿下ぁー…」
真面目で有名な王弟殿下が何をしてくれてんのぉ!
「今頃王宮でお祝いモードだろうな?陰でお前は同性愛者だと噂を流されていたからな」
「何だ、その誤解は」
「お前が悪い、社交界では全く女性と話もしない。ダンスも拒否するからな」
「一応一度は踊った」
「ああ、ただし既婚者限定でかなりの年上な」
「いいだろう…俺はハイエナのような目をしてる女性が怖い。特にワーストワンはあの令嬢だ」
あの令嬢とは誰なのか。
相当毛嫌いしているのを見ると、そんなに酷いのかしら?
「叔父上同様にお前も潔癖症だからな。一応元王太子候補だった女性だぞ」
「へ?」
「キャサリン様気づかなかったんですね」
元王太子候補ってオレリア?
「ですが…」
「彼女は幼少期からうっとうしいぐらいにお前にお熱だったな」
「吐き気がする」
「フィルベルト様、そうとうあのオリゴ様の事が苦手なんですね」
「オレリアよ…オレリア・ジュレイド」
何よオリゴって。
オリゴ糖じゃないんだから!
「そうでしたっけ?」
「そもそも眼中にもないのか。本当に…」
「最初にキャンキャン吠えてた記憶がありますけど」
本当に言うようになったわね。
あの儚げで一途なヒロインの影はまるでないわね。
「フィルベルト様も変に期待を持たせたのでしょう」
「エレーナ、俺は彼女に最低限の挨拶しかしていない」
ここまでくるとオレリアが哀れになってくるな。
もしや、前世での暴走は恋する人がいてもその人と一緒になれず、婚約者に冷たくされた後に、常に傍で支えてくれたロイドに恋をしたのかもしれない。
傍で支えてくれた人を愛するようになっても不思議じゃない。
そうなると、今生ではちゃんと幸せになれるわよね?
もう友人でもないけど、幸福になる事を祈ろう。
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