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第二章
53不公平な幸福~オレリアside⑤
しおりを挟む王族であるフィルベルト様が下級貴族でしかないキャサリンと婚約?
ありえないと思った。
だけど、王都新聞には二人が仲睦まじくデートを重ねる記事が抜かれていた。
学校新聞でも取り上げられ、信憑性が高いと判断された。
「どうするの貴方。公爵家は直系の王族よ」
「解っている。こうなってはまずいぞ…いや、好機かもしれない」
「どういうこと?」
私の気持ちとは正反対に卑しいフォーカス家はとんでもない事を言い出した。
「キャサリン嬢に上手くいって、この待遇を何とかしてもらえないものか」
「そんな、貴方…」
「なんならスキャンダルをでっちあげて、金を…」
何所までも浅はかで最低な男。
既に借金まみれで、お金を借りたくても信頼がないから商人から断れている。
だからと言ってこんな手段に出るなんて。
「父上、そんな恥知らずな真似を」
「何を言う。公爵家の婚約者であれば相当な金が手に入るだろう。お前も元婚約者なら知恵を働かせろ…そうだ。今からキャサリン嬢を口説け」
「そんな…」
「憎からずお前を思っていたはずだ。何年婚約をしていたと思っている」
キャサリンへの未練はお金だけ。
フォーカス伯爵はそういう男だった。
「審議は解らないのに…馬鹿だわ」
「何?」
「普通に考えておかしいと思われないのですか?」
そうだわ。
ありえないのだから。
キャサリンなんかを愛人であるとしても選ぶはずがない。
気品も、才能も地位もない面白みのない女だわ。
しかも婚約者に捨てられた傷物令嬢。
だからこんな噂はありえない。
どんなに信憑性があるとしても絶対にありえない。
だから私は調べるように命じた。
ロイドに言って、真相を明らかにできる記者に連絡を取り真実を確かめようとしたのだけど。
その前に王都日報が正式に二人が婚約したことを発表されたのだ。
「どういうことなの!」
「俺に聞かれても…」
「ありえない!絶対に不相応だわ。キャサリンごときが…あんな地味で不細工で器量のない女が、身の程知らずだわ!」
「オレリア…」
「だってそうでしょ?私の踏み台になるだけの女。私が一緒にいてあげたから…友達になってやったから社交界でそれなりに名が知れたのよ」
そうよ。
侯爵令嬢の友人という肩書がなかったら誰にも相手にされない。
「そうでしょロイド?あの女が王家の椅子に座るなんて王家への侮辱だわ」
怒りが抑えられなかった。
かつて友人だとお、思っていた。
でもキャサリンは私を裏切ったのだから。
もう友達じゃないわ。
裏切り者の最低最悪の悪女なのだから。
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