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第二章
52不公平な幸福~オレリアside④
しおりを挟む私が本当に欲しいものは何時だって手に入らなかった。
なのにどうしてキャサリンは私が欲しい物を手に入れるの?
何の努力もしないで。
ロイドとの婚約だって、白紙になっても恨み言も言わずに了承した。
慰謝料を請求しない事で私は…
「まさかロイド様が慰謝料を踏み倒したなんて」
「聞けばオレリア様が断らせたそうですわ」
「まぁ酷い。やはりキャサリン様を使用人扱いをしていたのね」
「友人だと言いながら奴隷のように扱っていたのでは?怪我まで負わせて謝罪もないとか」
違う。
私は何も言っていないし、何もしていない!
なのに、日に日に私への悪意が広がりつつある。
ロイドは私を守ろうともしないし、そんな力もない無力な男。
そんな相手と結婚して私を守れないわ。
口では私への愛を囁きながらも何もできない。
社交界での噂を抑え込む力もない。
学園では私は居場所がなかった。
成績だってがた落ちで今まで完璧だったのにすべてはキャサリンの所為で私の人生は転落への道に向かった。
それだけではなかった。
私が酷い目にあっているのにキャサリンは私に会いに来ない。
助けようともしない。
お祖母様からは接触を禁じられたけど手紙を出したけど。
「ロイド、貴方は何所まで我が家に泥を塗れば気が済むの!」
「婚約者の手綱を握れないのか!勝手にクレイン家に手紙を出すとは!」
「違います!オレリアが勝手に…」
「まったく何であんな女に誘惑されたんだ」
「身分がなければ何の価値もないというのに」
隣の部屋で怒鳴り散らす彼ら。
気品の欠片もないあんなのが私の姑と舅なんて認めたくない。
私は伯爵夫人なんてなりたくない。
実家からは縁を切られて援助もされない状態だった。
お父様はお祖母様に逆らえない。
実の娘である私よりも自分の保身しか考えない。
悪夢のような日々を誰かが助けてくれる。
そう思っていたのに。
時間だけが過ぎて、誰も助けてもらえない。
そんな中、キャサリンの噂が耳に入ってきた。
「またキャサリン嬢の噂か…」
「錆びれた領地の改革に干ばつを救った事で勲章を与えられるですって…どうして!」
「ロイドは黄金を手放し、石ころを選んだのか…」
「こんな…」
嘘だと耳を塞ぎたかった。
私の引き立て役でしかないのに、キャサリンは社交界でも有名になり持ち上げられるようになった。
そんなある日。
キャサリンとフィルベルト様の婚約のうわさが流れた。
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