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第二章
50不公平な幸福~オレリアside②
しおりを挟む昔からずっとそうだった。
キャサリンは私よりも身分が下なのに決して私に劣等感を抱くことがなかった。
抱いたとしても感情に出さない優等生。
その優等生ぶっている所が嫌いだったし、偽善者ぶっているのも嫌だった。
「オレリア、他人の悪口を言いに来たのなら私は帰るわ」
「そんな酷いわ…」
ちょっと同年代にいけ好かない令嬢がいることを離し悪口を一緒に言って欲しいと思ったのに肝心なところで空気を読めないキャサリン。
「オレリア、何故泣いているんだ」
「キャサリンが…」
「なんて酷い事を!」
私が悲しそうにすると絶対にロイドは私の味方をしてくれた。
「オレリアに謝るんだ」
「悪いことをしたら謝るわ。でもそうではないなら謝る必要がある?ロイド、オレリアを甘やかせるのは良くないわ」
「何様だ!」
「声を荒げないで。子供じゃあるまいし」
婚約者のロイドは私の味方だとアピールをしてもキャサリンは表情を変えることがなかった。
だから悔しくて、私はロイドとデートをしたことを言えば。
「出かけるのはいいけど、勉強をサボるのはどうかと思うわ」
「キャサリン?」
「せめて勉強を終わらせてからにして欲しいわ。でないとフォローできないわ」
常に完璧であろうとする。
感情を、弱さを出さないキャサリンに私はむかついた。
まるで私はダメなんだと言われているようで。
「キャサリン、勉強が進んでいないそうね」
「先日、音楽の先生が嘆いていたわよ」
「クレイン家の令嬢は完璧だというのに…伯爵令嬢なんかに負けるとは!」
キャサリンと比べる二人。
どうして二人は私を見てくれないの。
「やはり…」
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「何だと?お前の教育が悪いからだろう!」
「私だけの所為?貴方はいつもそうね!面倒な事を全部私に!」
顔を合わせれば喧嘩ばかり。
私を見ようともしない二人に耳を塞ぎたくなる罵倒。
誰からも羨まれる私なのに…
胸の奥が悲しくなるのはどうして。
家にほとんどいないお父様。
お母様は毎夜パーティーに出て私は邸で一人だった。
なのに…
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「今日も一緒に参加されるのね」
「お二人とも多忙なのに夜会にお茶会は絶対に夫婦で参加ですって」
忙しいはずのキャサリンの両親は行事には必ず夫婦同伴だった。
「本当に仲睦まじいですわね」
「先月はご息女のお誕生だと有休を取られたとか」
「仕事人間のお二人もやはり親ですわね」
娘の為に仕事を休んだ…
誕生日パーティーを開いてくれても、仕事だった。
一緒に祝ってくれたのなんていつ以来だろうか。
なのにキャサリンは…
こんなにも両親に愛されている。
それが羨ましくて仕方なかった。
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