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第二章
49不公平な幸せ~オレリアside①
しおりを挟む私が社交界から遮断され、隔離状態にある中。
囚われの姫の気分だった。
フォーカス家の生活は地獄の言葉につきる。
侯爵令嬢で王太子殿下の婚約者だった私が毎日のように姑に嫌味を言われる日々。
外出の控えさせられ質素な食事に質素な服装。
ジュレイド家ではまずはありえないわ。
使用人だって少なすぎる。
なのに、ロイドは私を助けてくれなかった。
「オレリア、聞き分けてくれ。君はもう侯爵令嬢じゃないんだ」
「だからってこんなの牢獄だわ」
「そんな言い方はないだろう!君も俺の婚約者らしく少しはましな振る舞いをしてくれ」
「この私に説教する気なの?私は仕方なく貴方の婚約者になってあげたのよ!」
この言い草は何なの?
侯爵令嬢だった私が仕方なく甘んじてあげたのに私を守ることもしないなんて。
社交界にも出られず周りからは私より格下の存在だった令嬢に馬鹿にされても待遇を開戦してくれない。
私を愛しているって言ったのに!
「キャサリンだったら…」
「その名前を呼ばないで!」
「何をするんだ!」
自覚がないのか、それとも、嫌みなのかは解らない。
でも今の言葉は許せなかった。
「本を投げるなんて…野蛮だ」
「うるさい!」
「そんな言葉を使うなんて令嬢らしくない…君はフォーカス家の嫁にあるなら!」
何がフォーカス家の嫁よ。
「没落寸前の貧乏伯爵夫人だなんて」
「オレリア、いい加減にしてくれ」
「いい加減にするのはロイドでしょ?」
何で私を責めようとするの?
私は被害者なのに。
こんな酷い転落人生があるかしら?
私は幸せに成り立っただけ。
ロイドを奪おうなんて思ったわけじゃない。
少しだけキャサリンを困らせて意地悪をしたかった。
何でも完璧にこなして感情を表に出さずにいるキャサリンが少し困ればいい。
少し意地悪をして困ればいい程度だった。
だって私に好意を持つロイドの気持ちは知っていた。
だからイベントのたびにロイドを呼びつけた。
お茶会や誕生日でも私が傍にいてほしいと言えばロイドは言うことを聞いてくれたしキャサリンだって納得していた。
それが詰まらなかった。
困ればいいのに。
少しぐらい困ってくれないとつまらない。
だから私は我儘を言い続けたり無理を言ったのに、キャサリンはすべてに答えた。
だからキャサリンをわざと一人にして見せつけるようにデートをしたのに。
感情を表に出すことがなかった。
それがムカついた。
まるで気にしていないと言われているような気がしたのだから。
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