伯爵令嬢の受難~当馬も悪役令嬢の友人も辞めて好きに生きることにします!

ユウ

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第二章

48早すぎる噂

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解っていた。
情報が早すぎるし、最近殺伐としていた事件が多かったのも。


だけどこれは早すぎるだろう。



――号外・新たなロマンス。
隠された純愛が時を経て新たな愛の絆を。



「幼少期の純愛が今になり…」

「もういいから!」

私は生徒会室にて新聞を声に出して読むエレーナ様から新聞を奪う。


「もう何でこんなに情報が…」

「スッポンですもんね」


本当にね。

「テスト明けに家に帰るのが怖い」


既に社交界にも広まっているだろう。



「そういえばフィルベルト様は?」

「ああ、あいつは今逃げている」

「逃げている?」


誰から逃げるというのか。


「キャサリンは知らなうだろうが、高位貴族でフリーなのはあいつぐらいだ」

なんとなく理解した。
未だに婚約者のいないフィルベルト様を狙っていた令嬢が真相を追求するべく追い回していると。


「まぁ、こればかりはな」

「そういえば公爵家は代々愛人を作らない事で有名でしたね」

「ああ、潔癖症だからな…愛人を迎えることはない」


そんな顔で私を見ないでください!


「婚約者の座はこれ以上無いほど魅力的だ」

「玉の輿ですもんね」


「公爵夫人の座は魅力でしょうね…まぁ私は興味ありませんけど」

「エレーナ・・・」


本当にはっきり物を言う人ね。
よくこんなハッキリした、物言いをして社交界で生きてこれたものだわ。


そんな中。


「遅くなった!」


「逃げきれたのか」

「なんとかな!」

肩で息をするフィルベルト様は窓から現れた。
普段ならありえないのだけど相当大変だったのだろう。


「大丈夫でしょうか」

「大丈夫だ…寮までは押しけられることはないが…テスト明けが怖い」


ああ、私と同じなのね。
ある意味私よりも大変かもしれない。

だって実家に行けば質問攻めになるし、何を言われるか。


「母上に会うのが嫌だ」

「私もです」


お互いに母親に苦労するわ。
だって、私のお母様も普段は勤勉だけどロマンスが好きだもの。


公爵夫人はどうなのか解らないけどフィルベルト様の表情を見ると似たような状況であることが解るのだから。



覚悟しないといけないかもしれない。
社交界でも噂が恐ろしい事になっていたけど、私はもう一つ忘れていた。


既にかこの人となってしまった元婚約者と元友人の存在を。



「キャサリンとフィルベルト様が婚約だと…馬鹿な」

「どううして…」


私は幸せになりたい。
そう思っていた矢先の出来事だった。


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