伯爵令嬢の受難~当馬も悪役令嬢の友人も辞めて好きに生きることにします!

ユウ

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第二章

47親友の思い~リシウスside

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物陰から二人を見守り心の中で安堵した。


「ようやく実ったか」

「随分と回りくどいですね」

「フィルベルト様、遅い春ですね」


私と一緒にフィルを見守る彼女たちは少し手厳しいが心配をしていたので目を瞑ろう。


「ようやく幸せになってもらえる。それが嬉しい」

「従兄に負けて悔しくないのですか」

「負けも何もないだろう」


私はずっと優しい叔父が好きだった。
本当は王となるのは叔父だったのに、父に王位を譲り、一歩下がっているんだ。


「私はフィルに幸せになって欲しい」


「殿下は本当にフィルベルト様がお好きですね」

「ああ」

王家も一枚岩ではないからな。
家族であっても完全な味方ではない。

貴族も同じだ。
叔父は誰よりも父を優先してくれた。

家族として――。


フィルも同じだ。
私の王太子という立場を慮って心配してくれた。


「フィルはずっと私の味方をしてくれた。ずっと…」

兄弟よりもずっと近い距離にいて私を守ってくれた。
彼女との婚約の時も私の心を守ってくれたんだ。


だから…

「もう十分だ。これ以上はもういい」

「まるで自分の犠牲になったと言いたげですね」

「エレーナ」

「思い上がりです」


こういう時容赦がないな。
思い上がりなんて言い方をするなんて。

「確かに自意識過剰ですね」


「君も容赦ないな」

この二人ある意味似ているかもしれない。


「誰が何時犠牲になったといったんです?」

「いや…しかし」

「あの方は誰かに命じられましたか?それともそういわれましたか」

「言ってない」


言うわけないだろう。
フィルはそんなことを絶対に言わない。

いうはずがないのだから。


「貴方は一方的すぎます。フィルベルト様の気持ちを勝手に決めつけるべきではありません」

「エレーナ・・・」

「もし私だったらこういいますね。調子に乗るなと」

本当にな。
一応私は君よりもはるか上の立場にあるんだが。

遠慮がないな、本当に。


でも本人に直接聞いたことはない。


「一度聞いてみればよろしいのに」

「そうだな・・」


いい意味でも悪い意味でも二人は型破りだ。
貴族の常識からかけ離れている。

だが、この二人のおかげで少し目が覚めたかもしれない。

ただ今は親友であり兄のような存在のフィルの幸福を願いたい。


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