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第二章
46答え
しおりを挟む一人になりたくてとぼとぼ歩くとあの庭園にいた。
「私、どんだけ最低なのかしら」
考えてみればフィルベルト様は私の気持ちを察して、待っててくれたのだ。
「待たせているくせに、忘れようとしていた」
普通に接してくれているから、甘えていた。
でも…
ここに来る前に彼女にシッポンさんに言われた。
「待たされている身にもなるべきです」
「えっ…」
「フィルベルト様が宙ぶらりんの気持ちを少し考えてくださいと言ったんです」
この言葉に何も反論できなかった。
「恋愛する暇がなかったのは解ります。ですが普通に接してくださるあの方の好意に甘えるのはどうかと。その気がないならハッキリするべきです」
「それは…」
「好意は少なからずあるなら考えるべきです。今の優先順位は何です?」
諭されてしまった。
でも正論過ぎて私は言い返せなかった。
「キャサリン…」
「フィルベルト様」
「申し訳ない。新聞部の事は…母の差し金だ」
「はい?」
「母が噂気を聞きつけて…その」
公爵夫人がぐるだったってこと?
「本当にど詫びていいか…だけど俺も同罪だ」
「え?」
「噂が広まれば、少しでも俺の事を考えてくれるのではと。最低だろ」
申し訳なさそうにするフィルベルト様を責めることはできなかった。
それどころか嬉しいと感じている自分がいる。
「正直困りました」
「そうか…」
「迷惑ではなく…恥ずかしくて」
「え?」
そう、これが別の人なら嫌悪感を抱くだろう。
訴えてやりたいと思うかもしれないけど、嫌ではなかったのだ。
「私は以前にも申し上げましたが初恋もままならぬ女です」
「ああ」
「恋愛不適合者です。もはや枯れた花です」
「そんなことはない」
こんな風に思ってくれる人は他にいるだろうか。
家族以外でここまで私を愛してくれるのはフィルベルト様だけかもしれない。
「正直解らないのです。どうしてフィルベルト様はここまで思ってくださるのか」
「キャサリン…」
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そう、これは事実である。
何度も言われたし、社交界でも可愛い気のない生意気で傲慢だとも言われたのだから。
「キャサリン、俺の言葉を信じてほしい。他の誰が何といおうとも君は綺麗だ。魅力的で美しい」
「あっ…あの、そこまで言われると困るのですか」
「では今日から毎日君に言おうと。解ってくれないなら目が合うたびに言おう」
それはそれでもっと困るし止めてほしい。
でも、これが私の精一杯だった。
「そのお気持ちがとても嬉しゅうございます」
「ありがとうキャサリン」
私は悪役令嬢でもヒロインでもないけれど、恋をしてもいいですか?
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