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第二章
40敵は生徒会室にあり
しおりを挟む干ばつと並行して感染病対策を行った後に、ワクチンの政策と害虫の計画が進んだ。
科学者であるエレーナ様が率先してくれたおかげで計画はスムーズに進んだのだけど野曽のご褒美に。
「フハハハ!やりましたわ!害虫図鑑!」
「エレーナ様…」
真昼間から淑女らしくない笑い方をして百科事典よりも分厚い怪しげな図鑑を見せびらかしてきた。
「害虫の中に珍しい虫がいたのです!私が長年探していた毒虫です」
「あー…」
「害虫駆除にノリノリだったのはこれか」
当初我が国に害虫を放ち、数年後には多くの民を死に追いやることになる病原菌。
その原因となる害虫を駆除する計画を皆に話たところ、殿下とフィルベルト様が率先して動いてくれたのだけど。
エレーナ様が率先して計画に乗り出した。
害虫駆除の薬の開発に、防護服の政策も誰よりも頑張ってくれた理由がこれとは。
「毒を持って毒を制するですわ。これでまた特効薬の実験ができます」
「頼むから人の道から外れた実験は止めてくれ」
「ああ、どうしてモルモットが少ないのでしょう?できれば腐敗したクソ貴族を実験に使った方が世のため人の為になりますわ」
「頼むから物騒な事を…」
「ハッ、これだからダメ男は。フィルベルト様は本当にヘタレですわね?軟弱すぎますわ」
「言っておくが君が図太過ぎるんだ」
確かに否定はしない。
だけど、随分と言い方が酷いな。
「意中の女性にまともにアプローチもできないで?私が惚れ薬を売って差し上げると申したんですよ」
「誰がそんなものを買うか!」
「本当に甲斐性無しですわ。未だにキャサリン様に手を出せないなんて…見守る恋なんてしているから七年も初恋を拗らせているのでしょう」
「は?」
「おい!」
七年とはどいうことだろうか。
「幼少期に図書館で出会った聡明な令嬢に一目ぼれ。でも思いも告げられず、ずっと初恋を拗らせ婚約者を拒否しているなんてダメダメですわ」
「止めろ!」
「キャサリン様、結婚したから幸せになるとは限りませんが。結婚した方がメリットはありますわ」
「エレーナ嬢、もうその辺にしてやれ」
殿下が憐れむような目を向ける中、ここで空気を読まない人物が一人。
「フィルベルト様ってけっこう執念深いんですね」
空気を読まない歩きトラブルメーカーセルシアだ。
「執念とは…」
「ここまで初恋を拗らせていたってことはもはや執念です。ちょっと引きます」
無邪気な笑顔でえぐい。
かなりきついわよ!
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