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第二章
39天才すぎるヒロイン
しおりを挟む改革とは長期間で考えるものだった。
三年、五年。
時には十年を見越すことだ。
田畑を耕すのに時間がかかるように、人を育てるのもしかり。
花に水をやり過ぎてもやらなさ過ぎても枯れる。
正解のやり方はない事を教職として勤めてきた私は嫌というほど熟知していた。
けれど成果は必ずある。
前前世も前世もそうやって私は歩いてきた。
その成果は実った。
「干ばつの地に雨が降りましたわね」
「対策のおかげですね!流石キャシー様」
「エレーナ様の魔道具とギルドの方のおかげです」
私の案はかなり原始的な考えと木の伐採だ。
辺境地に大工ギルドを派遣した後に伐採をたのだのだ。
勿論報酬は大盤振る舞いだ。
道中の費用と、滞在期間の費用と別に報酬も。
「でも自腹でよろしかったのですか」
「できれば捨てたいお金でしたので」
実はそのお金がジュレイド家から支払われた慰謝料だった。
前侯爵夫人がかなりの金額を支払ってくださったのでそのお金を存分に使わせてもらった。
「慰謝料なんて負のお金だわ」
「顔が…顔が死んでいるぞ」
「殿下、お気になさらず」
本当にね。
乙女としてアウトだけど。
「この際慰謝料すべてを援助に使ってしまおうかしら」
「倹約家のキャシー様が、お金にがめついキャシー様が!」
「セルシアさん、その口を永遠に開けないように塗って差し上げても良くてよ」
「糸ですか?」
もう本当に何でこんなバカなの?
なのに先日の実力テスト試験は学年で二位だった。
もし一位だったらこの世の無情さに絶望していた。
私は三位だったけど。
大体何であんなにお馬鹿なのに。
深く考えないから物を覚えるのが恐ろしく早く数学に関しては何故そうなるか?なんて考えずに素直にこうなのだと理解した。
理解力は恐ろしいほどに良く、記憶力は驚異的だわ本当に。
「そう言えば、実技試験一位だったようだな」
「はい、楽勝でした」
魔法の実技試験ではぶっちぎりだったそうだ。
本当にチートかと疑いたくなるのだけど、コントロールは難しく。
「校舎をぶっ壊して何が楽勝なものですか。壊れたのが幸いにも職員室だからよかったものの。私の研究室を壊したら許しませんよ」
「エレーナ様、それはそれで…」
「教師は皆魔力がありますから死にはしないでしょう。でも研究所はデリケートなんです」
「はい気を付けます」
本当にそうじゃないんだけどね!
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