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第二章

31二つの問題

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現在東西南北で雨不足の問題は大臣も頭を抱えてる。
特に東の領地では、数年前まで薬草を特産物にしていたのに全く採取できなくなった。

そのうえ干ばつの影響で頭を抱えていた。


「干ばつといっても伐採等はされているのですよね」

「伐採?何故だ」

「は?」

まさか干ばつの問題となっている森は野放し状態?
じゃあちゃんとした対策はしていないということ?


「対策はどのようなことを」

「少し前は雨乞いの儀式として人身御供をしていたと聞く」

「人身御供」

何時の時代よ。
そんな馬鹿な事をしていたの?


「意味がありません」

「そうなんですか?」

「第一、それで改善されましたか?」

「とにかく神の怒りをと…」

ありえない。
そんな迷信を信じているの?

確かに御伽噺ではあったけど、それで雨が降ったという話は聞いたことがない。

「水魔法が使える魔術師はほとんどいない。それてに定期的に雨を降らせるなんて不可能なんだ」

「その前に魔術師が死にますわ」

定期的にそんな真似を。
干ばつの問題はすぐに解決はできない。

だけど時間が足りない。


いや、待てよ。
水問題ならば解決する方法があるのではないかしら?

今すぐとはいかないけど。
その間、水問題を解決する方法に役立ってくれる人がいる。



「その程度の事、私のは研究品を使えばどうということはありませんわ」

「エレーナ嬢、大丈夫か」

「ええ、数か月程度ならば問題ありません。その代わり三人ほど魔力の強い魔術師に犠牲になっていただきます」


「「「犠牲…」」」


一同は真っ青になる。
何故なら彼女の発明品は魔力を注入して発揮するのだ。


その実験の所為でこれまで犠牲になった。


「さぁ!三人とも!私の偉大なる研究の犠牲になりなさい!」

「嫌ですぅ!死にたくありません!」

「エレーナ嬢の魔力の奪い方は地獄だ」

「私は一国の王子なんだがな」


そうだ。
国のツートップである二人を研究の餌食になするなんてとんでもない。

「残念ですがキャサリン様は魔力がチリ紙程度ですから」

「怒っていいですか」

解っているけど、ここまではっきり言われるとむかつくわね。
清々しいほどの態度のエレーナ様に文句の一つでも言ってやりたいわ。

「そっ…そんな。罪もない生徒に酷いですぅ」

「そうだ。無駄に魔力を持っている生徒とか。罰則のある生徒の方が適任だろう」

「罰則…それはいい考えです!早速風紀委員長に相談を!」


完全に暴走したエレーナ様を止めることは不可能だった。


「助かりました」

「命拾いをしたな」

「ああ」

ただ、わが身が可愛いのは誰もが同じだった。


後にその犠牲となった生徒が誰かなんて私が知るはずもなく新たな計画が実行されたのだった。


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