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第二章
29優先順位
しおりを挟む両親は私の婚約に乗り気だったけど、あくまで私に決めさせるというスタイルだった。
返事は急がない。
公爵家はこの婚姻に関してはかなり乗り気だという話だけ。
とりあえず保留だ。
今最優先で行うのは仕掛人としての仕事だ。
「キャサリン、すまなかった」
「いえ…」
「少し焦り過ぎた。今はペンションの事だ」
正直助かった。
今の段階で答えが出せないでいるのだから。
「俺とのことはゆっくり考えて欲しい」
「はい…」
「答えを急いでほしくない。、むしろじっくり考えてくれる方がいい」
それはそれで困るのだけど。
私は基本短期決戦をしたいのだけど、今は優先事項はペンションだ。
「キャシー様!栄養不足で倒れたんですか!」
そして無駄に騒々しいのが来たわ。
「常日頃から、あまり食べないからそんなことになるんです!さぁ沢山食べてください」
「病み上がりの人間の前に生きた魚を見せないでくださる?第一、まだ生きているでしょう。しかも何で鶏の首を素手で掴んでいるんです!」
「その辺で迷子になっていたので掴みました!」
「明るく言うんじゃありません!」
この歩くトラブルメーカーを何とかしてほしいわ
というかこれ地鶏よね?
普通にいるの?
「これは野生の魔鶏だな。肉食系でかなり危険なんだが」
「狩りは得意です!今度はマムシを捕まえきます」
もう嫌だ、このヒロイン。
乙女ゲームのヒロインからどんどん遠ざかっているわ。
前世の王道ヒロインは何所に行ったのよ。
もしかしたらもともとこういう性格だったかのかしら?
「遠出してきたのですが、珍しいキノコを手に入れました」
「毒キノコですよね!」
エレーナ様が持っている籠の中には紫色のキノコがびっしりだった。
「大丈夫ですよ。美味しかったんで」
「食べたの?」
「嫌ですね。食べないと味が解らないじゃないですか。もうキャシー様ったら」
「貴女がとんでもまいお馬鹿さんだということはよーく解ったわ」
これまで馬鹿だ、馬鹿だと言ってきたけど。
ここまでのお馬鹿だったとは思わなかったけれど。
何でこんな頭のネジが緩んでいる子に私はテストで負けたの?
本当に泣きたくなってきたわ。
「まぁ、とりあえず鶏肉の心配はないだろう。後は魚も悪くないぞ」
「殿下…」
「王都では高級魚は食べられるが、昨夜食べたような小魚の料理は食べられない。ならば特産物は決まったんじゃないか」
「そうですね」
豚肉もいいけど、鶏肉をメインにした料理なら低コストだわ。
料理のメインが決まり、後は客の呼び込みを考えれば完璧だった。
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