伯爵令嬢の受難~当馬も悪役令嬢の友人も辞めて好きに生きることにします!

ユウ

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第二章

28迷い

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高貴さは心。
その人の振る舞いによって決まるのだ。


生まれは誰も選べない。
でも生きていく中で己の行動によって高貴さを身に着ける。


生まれ持った王女も、王子もいない。
王も王妃も同様に、そうなろうと努力し続けた者がその品格を手に入れる。


「王妃陛下は、生まれながら身分が高かったわけではない」

「でも、ずっと血を吐くような努力をされてきた」


「はい」

男尊女卑が当然な世の中。
王妃陛下はその常識を覆そうとされていたのだから。


「オレリア嬢との仲がよろしくないと噂をされていたけど、王妃陛下は歩み寄っておられたわ」

「心を閉ざしたのが彼女だろう」

「はい」


殿下との婚約を望んでいなかったのは知っている。
ロイドに泣きついているのを何度も見ていたのだから。


「ご自分だけが悲劇のヒロインと思っていらしたのでしょうけど。殿下も同じだわ」

「お母様…」

「殿下は国の為に、民の為に心を殺してオレリア様と婚約されたのに。エレーナ様への恋心を捨てて」

「はい?」


今なんとおっしゃいました?
殿下が誰を好きだって?


「やはりそうだったか」

「やはり」


いやいや、何で三人とも知っているの?


「エレーナ嬢と殿下は古い付き合いがある。まぁ殿下の一方通行だが」

「ええ、涙ぐましいわね」


「察するに、己の恋は叶わない。だからこそ心を殺せたのでしょう」


嘘でしょ?
だって前世ではヒロインと・・


でも最終的には二人はくっつかなかったのよね?
シナリオに反して予想外な事が起こるモブである私が死んでしまった事だ。


そして現世。
私が勝手に動き回ったせいでシナリオから大幅に変わった。



でも現段階であの二人の仲では友人関係しかない。
王道ルート等夢のまた夢だわ。


「でも、王妃陛下は反対しないのではなくて」


「だろうな。伯爵令嬢ならば問題はない」


ただエレーナ様は恋よりも仕事を選ぶタイプ。
研究に命を捧げているような人だから難しいだろう。


「人と人の繋がりとは不思議なものですわ。それで、どうするの?」

「え…」

「おい!」

お父様がお母様を止めようとしてくれたけど。

「いいお話だと思うの。フィルベルト様は申し分ない方ですもの」

「いや、しかしだな…」

お父様は相手が王家であることを難色を示していた。
普通は喜ぶところなのだけど、権力に執着しない人なのだから。


「キャサリンは結婚するよりも仕事をする方が」

「あら?両方を手に入れる方法がありますわ」


お母様の笑みに含みを感じた私は不安が過った。



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