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第二章
16旅は道連れ
しおりを挟む王都から離れた観光地。
海岸沿いで少し日差しが強いけど海の近くは涼しく、観光を楽しめるスポット。
…のはずが観光シーズンにしては人が少ない。
数年前は大人気のペンションはがらんとしていて違和感を感じた。
「いやぁ、気持ちいいな」
「ああ、バカンス日和だな」
なのだけど。
何で殿下とフィルベルト様がいるの。
「遅かったな二人共」
「何でいるんですかお二人共」
「お忍びでバカンスですか。しかし男二人とは」
キャンベルさんとエレーナ様も知らなかったと言うのは偶然かしら?
「殿下、どうされたのですか。このような」
「そうですわ。護衛は」
「いるだろう?」
フィルベルト様一人とは不用心ではないのかと思ったけど平民に変装する騎士がちらほら。
「折角の休みだからリフレッシュだ」
「あの…よろしいのですか」
「今休日に王都にいたらハイエナに狙われる」
オレリアとの婚約が解消されたと発表され、社交界では大騒ぎになっている。
これまで侯爵令嬢が王太子殿下の唯一の婚約者だと言われていたが、空席ができたのだから狙う輩が多いだろう。
「学校が休みだと、やれ見合いだ、やれお茶会というなのまな板の鯉だ」
「言い回しがどうかと思うが…ご愁傷様だ」
「第一何で私だけ何だ。フィルだっているだろう。むしろ湯量物件はお前じゃないか!」
そこで関係挨りませんと言う表情をされているフィルベルト様に怒りの矛先が向く。
「王家で最も血筋の良い叔父上の子息だろう」
「無理を言うな。早々に王位継承権を返上しているんだ」
「だとしても公爵の地位を自力でもぎ取っただろう」
通常、王の弟君だとしても爵位を得るならば良くて侯爵だ。
なのに公爵の地位を得ることができたのは、若かりし頃の武勇伝が影響している。
二十年以上前、我が国で戦争になりかけた大事件が起きた。
現在同盟を結んでいる島国なのだが、王弟殿下血を流さず頭を使い同盟を結ばせた。
もし同盟を結んでいなかったらその国は滅んでいただろう。
こちら側も無事では済まなかったのだから。
その功績により領地を賜ったのだが、それだけでは公爵の地位はもらえない。
王弟殿下はその島国を救う為に資金援助と、救済活動を続けた事で島の民の心を掴んだ後に島から島と架け橋を作ったのだ。
いわばば、外交官兼大使館兼政治の御意見番を兼任していると言っても過言ではない。
ただし最終決定は宰相閣下、財務大臣、将軍の三人に任せている。
あくまでアドバイスをするという低姿勢を貫いているとか。
常に内乱が起きないように目を光らせておられる公爵様は本当に慧眼だと思う。
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