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第二章
15奇妙な旅
しおりを挟む異様な組み合わせの二人。
この二人に関りはなかったはずなのだが、ものすごく嫌な予感がする。
「お二人共、これからも娘と仲良くしてくださいね」
「はい!喜んで」
「さぁ!早く行きましょう!観光地には沢山の昆虫があると聞いています」
楽しいはずの旅行がトラブルが起きる気がするのは気のせいじゃない。
でも、遠出するのは本当に久しぶりだった。
「私、こんな綺麗な馬車に乗るのは初めてですわ」
「中々良い作りですね。貴族の馬車は見た目だけを重視して無駄が多いのですが」
普通に馬車でお茶を飲んでいる二人にげんなりする。
「お菓子もいかが?」
「「いただきます」」
馴染み過ぎだろお母様。
お父様の隣でお代わりのお茶を注いでいる。
「キャシー様のご両親って本当に素敵な方ですね」
「え?」
「だって、私にも親切で…」
さして普通の対応だった。
まぁ前世では私の最後を看取りに来たキャンベルさんを最初こそは怒っていたようだけど、早い段階で受け入れていたし。
「キャンベルさん、解ってませんわよ」
「キャシー様って天然さんなんですね」
精神年齢が一回り違う人に言われたくないのだけどね!
「キャサリン様はご存じないでしょうが、貴族の夫婦とは冷めきっている者ですわ。親子で旅行なんて行きませんわ」
「そうなのですか?」
「恋愛結婚でも夫婦だけで旅行は行っても子供までとは…」
私は物心つく前から家族旅行は普通だった。
お父様の仕事が忙しくなってからは日帰りの遠出はでかけていたし、遠出はなくとも一緒に食事だって。
「高位貴族では家族の団欒がほとんどありませんし。まぁ我が家は科学者気質ですから家族そろって引きこもって研究ですけど」
「私の家は裕福ではないですが、ハイキングには行きましたよ」
ある程度は解っていたけど。
そう言えば、オレリアもロイドの実家も邸内で両親がいるのはあまりなかった。
誕生日パーティーは最初だけいるけど途中仕事で出て行ったり、お茶会で両親がいる事はなかった。
「さしずめあの性悪令嬢は被害妄想と嫉妬心を出したのでは?」
「え?」
「キャシー様が羨ましかったんですね。何もかも持っているから」
私が何もかも持っている?
社交界での地位も裕福な暮らしも揺るぎない地位も持っているのに。
「キャサリン様はご自分の事を何もご存じないのですね」
「はい?」
「言ってはいけません!キャシー様は天然さんです」
だから何だというのか。
まるで理解できないし少し馬鹿にされているような気分になった。
「あら、このビスケット美味しい。伯爵閣下、お代わりいただいても?」
「好きなだけどうぞ」
そしてエレーナ様!
少し図々しい気がするのだけど。
「奥様、このお茶これにいれていただいても。薄めて沢山持ち帰りたいんです!」
もっと図々しいのがいたわ!
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