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第二章
14夢
しおりを挟む通常王立学園を卒業したら女性は結婚するか王宮に仕える生徒が多い。
でも私はそのまま結婚するのではなくもっと勉強をしたかった。
家庭に入るよりもお母様のようにバリバリ働いて、自分の力で生きていたかったけどフォーカス家は許してくれなかった。
妻としての役目を放棄するのかと。
女は家庭に入り夫に尽くしてこそだと言い放ちお母様の遠回しに否定した。
でも前世の私はそうやって洗脳に近い仕打ちを受けていた。
「結婚したから幸せになるとは限らない」
「え?」
社交界の歪みは酷くて、女性の幸福は結婚だと誰もが言う。
でも違うわ。
「私は結婚できなくても幸せになるのを諦めない」
「お嬢様」
家を守る方法と、私が幸せになる方法の両方を探そう。
片方を選んでもう片方を犠牲にしなくてはならないなんて道理くそくらえだわ。
「私が不幸だったら、お父様もお母様も喜ばないでしょ?」
「お嬢様…」
「私自身の幸福を守る為、そして大切な人の幸福を守る為に闘うわ」
男尊女卑の世の中。
結婚できないというレッテルを貼られても幸せになれないわけじゃない。
「良く言ったわキャシー!」
乱暴に扉が開かれる。
「お母様…」
「それでこそ私の娘!結婚だけが道ではなくてよ」
「私達の事は気にするな」
「お父様…」
婚約解消の手続きで走り回っていたはずなのにどうして。
「お仕事は…」
「休みを取って来たのよ!」
「しばらく休暇だ」
いや、多忙で24時間、356日仕事三昧の二人が休み?
寝ている時以外は常に仕事、仕事の二人が休みを取るなんて。
「娘が大事の時に仕事をする馬鹿がいますか」
「そうだ。私は家族の為にこれまで頑張って来たんだ」
仕事人間と言われるお父様だけど、イベント行事は仕事を前倒しで終わらせて祝ってくださった。
「お前も学校は休みだろう。遠出をしよう」
「日頃の鬱憤を忘れてね」
「それは素敵ですわ」
こうなったお母様は止められない。
だって手に持っているトランクは既に用意してますと言っている。
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「キュウ!」
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