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第二章
10友人
しおりを挟む私の周りはどうしてこうも人の話を聞かないのか。
そして暴走する人が多いのか。
「それで、私は新たなポーションを考えているのですが」
「そうですか」
嬉しそうに早口で量産型のポーションについて長々と語る。
聞き手に回るのは得意だった。
これまでオレリアの話し相手になり。
ロイドの愚痴を聞いていたから慣れている。
「予算は十分足りているのに。難色を示している頭の固い連中が多くて」
「サンプルを作ってそれを冒険家の生徒に試した方が確実なのでは?」
「え?」
高価なポーションだけでなく下級ポーションを増やしたいが、中々採用されない。
それにポーションは貴族に最優先に売られ、魔力の低い下級貴族や平民にはなかなか渡らない。
中には貴族が高値で転売をしているそうだ。
しかもそのポーションは粗悪品だったりもするのだから質が悪い。
「貴族は希少価値の物に弱い。そして新しい物好きです」
「…と申しますと」
「学園内には元平民の生徒や、身分が高くない商人貴族がいますので。彼等にそのポーションを実際に使ってもらって宣伝…もしくはポーションをポーション以外に使えばよいかと」
ポーションとは回復薬であるけど。
別に戦闘時のみ以外にも使えるはずだ。
「例えは美容に良いとか、不眠症の方の為の製品にするとか」
新しいポーションを作っても製品が売られるまで時間がかかる。
ただし化粧品、紅茶などならばポーションほど時間はかからないのだから。
「成程、その手がありましたわ」
思いついたようにポンと手を叩くエレーナ様は鞄から分厚い本を出し、見開きのページには薬草が貼られていた。
「これですわ!ありがとうございます。今から行きましょう」
「は?」
「何を呆けておられてますの?言い出しっぺなのですから」
手を引かれ何故か私はエレーナ様に研究所に連れていかれてしまった。
「さぁ、今から私と国の未来の扉を開きますわよ」
「いや…私はポーションの制作は素人で」
「研究に関しては問題ありませんわ。意見をバンバン出してくださいませ」
いや、言い回しが――…
「さぁ、まずは一番のお手頃な実験から始めますわ」
私はこの時知らなかった。
エレーナ・アーストレイはまどっどサイエンティスト裏で呼ばれている事に。
「私と同盟を結びますわよ。腹心の友」
「もうどうとでもなってください」
新たな友人はかなりの科学オタクだった。
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