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第二章

8病

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この世界の時代背景は中世ヨーロッパ。
ただし魔法が存在し乙女ゲームなのでご都合主義と思いきや中々のシビアだった。


通常ゲームの世界ならヒロインが病気を魔法で治したり、死んだ人を生き返らせる設定があるようだけど。

あいにくこの世界の治癒魔法は傷を癒す程度だ。
ただし例外が存在する。


光魔法だった。
病気を完全に治すのではなく免疫を上げ、体の体内に悪い毒を浄化する。


しかし完全に元に戻せるわけじゃない。


「光魔法の融合と、重要になるのは錬金術」


この世界でも医療は西洋医学が重宝されている。
反対に東洋医学は時代遅れとされているようだけど、大きな間違いだ。

西洋医学は未だに発展途上。
二十年前に取り入れられており、我が国では西洋医学がまだまだ浅い。

対する東洋医学は500年以上の歴史がある。
子々孫々と語り継がれて来た伝統でもあるのだから。

今でこそ医師が花形だけど。


「薬師、薬草師、調合師の質はダントツなのよ」


私が寝たきりになった時もどれだけ薬草や薬師に救われたか解らない。


前前世でも私は薬にお世話になった。


そう、教師だった私はストレスとの戦いの日々。
胃痛に悩まされて来たのだから。


「ラベンダーに、セージ…すごいわ。こんな立派な図鑑はないわ」

病気に関して調べている間に植物図鑑を見つけてしまった私は読みふけってしまう。


「とても丁寧に観察された観察日記…」


当初の目的から脱線したけど。
あるページが目に入る。

「これは…」

その昔女性がお化粧に使う白粉に使われた成分は鉛白がある。

「待てよ…」

ふと思い出す。
辺境地の貴族夫人や下級貴族夫人とは反対に高位貴族は肌を美しく見せる為に使われていた白粉があった。


私が寝たきりになっていた頃に販売禁止になっていた。
これまでも禁じられていたが、国がすべての白粉を押収したのだ。


「この白粉は毒性があったはず」

公爵夫人の病気の原因は持病の所為だけでじゃないかもしれない。

色々な可能性を考えるべきだわ。
人の人生とは複雑な糸が絡んで未来が決まる。




化粧品か。
確かに体に有害になる製品も多い。


「キャサリン様?」

「あっ…エレーナ様」


私に声をかけたのは同じく生徒会執行部の生徒だった。


エレーナ・アーストレイ。
前世でも生徒会の一員で魔力は高くないが錬金術師の才を持ち卒業後は領地にて研究を続けていた。


そして私の同士というが同じ立場だったが。
彼女の婚約者は辺境伯爵家の次男で、卒業パーティーの後に婚約者と婚約解消をしたとか。


前世でも交流はほとんどなかった。
あるとすればオレリアなのだけど、何故私に声をかけたのかしら?


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