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第二章
5元親友と元婚約者の婚約
しおりを挟む二人が自宅謹慎をを命じられている間に学園では新たな噂が浮上した。
「ねぇ聞きまして?」
「ええ、オレリア様とロイド様が婚約されたそうですわ」
「えっ…でも、ロイド様の婚約者は」
当初から二人の親密さは噂されていた。
学園に入る前だから大ぴらにしなかったけど、私は知っていた。
舞踏会では護衛騎士だと言いながら、常にオレリアの傍にいて。
私の手を引いてくれた事はない。
幼少期の頃はあったけど、年頃になってから手を握って貰った事も。
公の場でちゃんとしたエスコートをされた事もない。
誕生日も、オレリアの護衛を優先していた。
その所為で私達の間に様々な噂が流れてしまったが、王太子妃の候補であるオレリアの精神を安定させるためだと言われた。
ジュレイド侯爵夫人に関しては…言うまでもない。
フォーカス家からは侯爵令嬢に頼られるのはメリットだ。
我慢して当然だと言う目で見られ私も我慢した。
前世の私よ、何処まで馬鹿だったのか。
今なら解る。
今回の婚約で二人は私が思う以上に愛し合い、ずっと私に訴えていたのだ。
婚約解消をしてくれと。
「キャサリン嬢、大丈夫か」
「酷いです皆さん!コソコソ言うならはっきり嫌味を言えばいいのに…それともわざとですか?」
「いや、それは違うぞ。というか感覚がずれているな」
殿下、私は貴方に初めて共感します。
どうしてこうも彼女はアホなのか。
少なくとも前世では優秀だったはず。
「私達は別に‥」
「そうよ」
「大体浮気三昧して、大事な婚約者を傷物にして婚約破棄に持ち込むなんて最低です!キャシー様の傷に釘を刺してハンマーでたたき、尚且つ剣で抉るなんて」
「少し黙りなさい」
「だってキャシー様!家の為に無理矢理な婚約を我慢して公爵令嬢の召使のような真似を我慢してこの仕打ちは」
だからもう少し考えなさいと言っているのよ!
「お黙りなさいセルシア!」
思わず机を激しく叩いてしまった。
「淑女がそんな言葉を口にするのは論外です」
「キャシー様」
「第一貴族の婚姻は政略結婚、オレリア様に関して私は一切恨みはありません。二人が愛し合っているなら引き裂くような真似をするつもりもありません」
多少は恨んでいるけど。
思っていた程ダメージは少なかったのは、二人に愛想を尽かしているからだ。
「キャサリン嬢…本当に良いのか」
「いいも悪いもありません。ただ素直に言って欲しかったというのが本音です」
まったく傷ついていないわけじゃない。
ただ前世の時も今も言って欲しかった。
ポタっ…
あれ?
「だったらどうして泣いているんだ」
泣いている?
誰が?
気づくと私の目から涙が流れていた。
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