上 下
35 / 136
第二章

2侯爵令嬢の失態~オレリアside②

しおりを挟む




「もう良い。しばらく部屋から出るな」

「そんな!」


傷ついている私を慰めてくれると思ったのに。
普段から忙しくて話も聞いてくれなかったけど、ここまで冷たいなんて思わなかった。


「貴方!王家からリシウス殿下との婚約を解消する手紙が…」

「何だと!見せろ」

婚約解消?
どうしてなのよ!

殿下だって私との婚約が解消となったら他の貴族からの反感がある事を解っているの?

解っているならあちらから解消はしないはずだ。

「オレリアとフォーカス家の嫡男が男女の関係である以上は婚約を続けるのは無理と書いてある」

「えっ…」

「学園内で堂々と浮気をし抱き合いキスをする写真も同封されている」

「してません!」


写真では位置からキスしているように見えるけど、目にゴミが入ったから取って貰っただけだし。

手にキスをされているのは薔薇の棘が刺さったから。
別に今までも同じようかとがあったわ。

だってロイドは騎士なのよ。

「私とロイドは幼馴染で彼は騎士ですわ!」

「貴族令嬢と騎士の関係を超えている。何より写真を同封する時点で疑いを持っている」

「貴方…こうなったらキャサリン嬢に!」

お母様が写真を握りしめキャサリンに否定してもらおうと言い出すが。


「今後一切クレイン家と関わる事は許しません」

「お祖母様!」


どうして王都に!
領地に引っ込んでいるはずなのに。


「とんでもないことをしてくれたわね。こんな恥知らずな真似を…ジュレイド家の名前に泥を塗ってくれましたわね?ねぇ?フォーカス伯爵閣下」


「えっ?」

お祖母様の視線の先にはフォーカス伯爵とロイドがいた。


「この度は誠に申し訳ありませんでした!ロイド!お前も頭を下げぬか」

「…申し訳ありません」


フォーカス伯爵はロイドの頭を掴み床にたたきつけ血が流れていた。


「誠意のない謝罪は結構。キャサリン嬢が貴方の息子の分もこれ以上無い程謝罪してくださいました。何処の世界に浮気した婚約者の代わりに謝罪をしますか。しかも病院に入院中にです」

「それは…」

「ご子息は勿論キャサリン嬢に入院中にお見舞いに行かれましたのよね?もう退院して学園に戻ってきていると聞きましたがお体はいかがだったのかしら?」

「それは…」


しどろもどろになっているロイド。
足がガクガク震えて情けなくて見ていられないわ。

「ちゃんと私の顔を見なさい!」

「はい!」

「なんて情けないのかしら?ロイド殿を護衛騎士に選んだのはキャサリン嬢の婚約者故に信用し過ぎましたの。ですが裏切られましたわ」

「前ジュレイド侯爵夫人…」

「今後二度と孫と会う事は許しません!そして不義を働いた慰謝料を一括でクレイン家に支払いなさい。婚約の時に持参金を受け取っているのであれば返金を一週間以内になさい」

お祖母様の怒りは相当で二人は口をつぐむことは出来なかった。
何も言えないなんてなんて情けないのロイド。


こんなの私の知っているロイドではないわ!
しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

とある令嬢の勘違いに巻き込まれて、想いを寄せていた子息と婚約を解消することになったのですが、そこにも勘違いが潜んでいたようです

珠宮さくら
恋愛
ジュリア・レオミュールは、想いを寄せている子息と婚約したことを両親に聞いたはずが、その子息と婚約したと触れ回っている令嬢がいて混乱することになった。 令嬢の勘違いだと誰もが思っていたが、その勘違いの始まりが最近ではなかったことに気づいたのは、ジュリアだけだった。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

【完結】しつこい元婚約者が絡んできましたけど、私はもう隣国の王子の婚約者ですよ?

白草まる
恋愛
悪評が広まっていることを婚約者のゲラルトに相談したところ、なぜか口論に発展してしまい婚約破棄を告げられたマルティナ。 しかも婚約破棄の理由はゲラルトの思い込みでしかなかった。 もう修復できない関係になり二人の婚約関係は終わりを迎えた。 しかし、二人の関係はまだ終わらない。 もう婚約者ではないというのに、ゲラルトが執拗にマルティナに絡んできたのだ。

処理中です...