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第一章

27平和な時間

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当然の結果ながら、二人のランクは格下げになった。
生徒会に乗り込み二度目となる問題を起こしたロイドは学園でも注目の的になった。


当然ながら私との婚約解消は何の問題もなかった。
前フォーカス伯爵夫人から直筆で手紙が届き今回の非礼を詫びるとの事だ。

フォーカス伯爵夫人からは何のアクションもないけど、できれば関わりたくない。
前世でロイドの愚行は全て婚約者の私の責任で、病気になっても責めるような手紙を大量に送り続けたのだ。


全てが最悪な事態となった時には前フォーカス伯爵夫人は病で亡くなっていたと聞くけど、孫の愚行に精神的に疲れ病気になった可能性が考えられる。

風邪をこじらしたがお見舞いも拒絶されていたのだから。
手紙を送り、できるだけ円満に解決したいことを伝え、私が女性として魅力がなかった事を伝えておいた。

例え私が被害者であっても悪戯に責めるような真似をすると後が面倒だ。
それに私が頭を下げる事で、これ以上住めることはできないし、相手方の面子を潰さないようにするのは効果的だ。

前前世でも土下座が効果的だった。
そう、どちらが悪いとか関係なく土下座をさせてしまえば自分が悪いことをした気分になる。


そしてそれ以上責められない。
営業マンにとって土下座が武器なのはその為だろう。


「ようやく平和な時間が戻って来たわ」

普段ならしない鼻歌をしてしまうわ。
面倒な婚約もなくなったし社交界で色眼鏡で見られる事はない。

フォーカス家が強引な手を使って婚約させたと誤解し。
尚且つジュレイド侯爵家も私を傍付きの侍女にしたいがためだとか。


オレリアとロイドが恋人関係である事を隠すために私を利用していると囁く声も。
真実はどうかは私にも解らないけど、今の私には関係ない。


オレリアが殿下を好いていたのか。
でも政略結婚で、駆け落ちをする程だったのだから幼少期から愛を育んでいたのなら婚約を結びなおせばいい。


私は恨んでないと言えば噓になる。
けど前世で過ごした時間はなかった事に出来ない。

二人を許せない気持ちはあれど不幸になって欲しい。
破滅して欲しいとまでは思っていない。


「キャシー様ぁ!どうしたんですか」

「相変わらず騒々しいですわね」

一人感傷に浸る時間さえも与えてくれないのだけど。


「キャンベルさん…」

「キャシー様!私の事を何時になったら名前で呼んでくださるんですか!」

「呼んでいるでしょう」


頬を膨らませてむくれるが、何でそんなにむくれているか解らない。


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