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第一章
21副会長の器
しおりを挟む生徒の問題は生徒会に一任するなんて丸投げもいい加減にしろと言いたいけど。
教師の大半が平民か、下級貴族だった。
学園内で一切の権力が使えないと言えば聞こえがいいが。
学園を出ればどうなるか。
卒業後に逆恨みを去れないとは言えないのだから。
「良き先生は解雇されたこともあります」
「それは…」
「ランクが上の生徒にランクが低い生徒の嫌がらせをされているのを見て止めた事で」
きっと高位貴族の令嬢、子息が裏で手を回したのだろう。
学園側も一枚岩ではないのだから。
だから生徒の問題を生徒にと言うのは納得できないが、生徒会の役員はたゆまぬ努力を繰り返して来たのだろうけど。
「理不尽ですわ」
「ええ…だけど、声に出すこともできないのです。でも、貴女は違う」
「え?」
どうしてそんな優しい目をして私を見つめられるのだろうか。
「あの時貴女は声に出してくださった」
「私は何も‥」
「ご友人と言えど相手は侯爵令嬢です。なのに貴女は公平な判断をし、風紀委員に落ち度はない事を告げてくださった…結果的に痛ましい事件になりましたが」
「私が自分でしたことです。誰かの責任ではありません」
「だからですよ」
副会長は私の手を強く握られ、もう一度告げた。
「貴女は公平だわ。偏った判断をしない。平民であるキャンベルさんにも色眼鏡で見なかった」
心が痛い。
前世では直接ではないいしろ、色眼鏡で見てしまったのだから。
そもそも彼女と接触した事はない。
事情も知らなかったし、知ろうともしなかった。
私自身もそんな余裕はなかったけど。
「副会長の買いかぶり過ぎです」
「だとしても、私の目は間違っていないと思っています。貴女は中位貴族の令嬢。ならば解っているでしょう」
私達中位貴族は多い。
そして立場も決して強くない事を。
「学園の皆の声に耳を傾けてくれると信じています」
「うっ…確信犯ですね」
「そうですわね?副会長をするには多少の腹黒さと性格の悪さは必要ですから」
私に断れないように話を持って行く彼女は確信犯だわ。
でも、最初から駆け引きをするような人間だったら私はあの手この手を使って辞退する気でいたけど。
私の性格をよく理解している故に本心を語り、私が断りにくい状態にしている。
極めつけ最後は弱い立場の者を守って欲しいなんて殺し文句だわ。
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