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第一章
20生徒会
しおりを挟むその日の内に私は生徒会役員に推薦された。
通常、余程の理由がない限り断る事は出来ない仕組みになっている。
前任が相応しいと考えれば他の生徒も文句が言えないのだ。
「これからお願いしますね」
「あっ…あの」
前任の生徒会副会長はとても優秀で監督生を纏める程の人望を持つ。
生徒会長の補佐が生徒会副会長となっているのだけど、実際生徒会を動かし、他の生徒会執行部を動かせる権利を持つのが副会長となる。
「何故私を…」
「今回の推薦は風紀委員長から他の生徒会執行部の推薦もあっての事です」
生徒会執行部。
いわば、生徒会幹部の下に役職が存在する。
風紀を守る風紀委員を筆頭に、図書委員会に美化委員会等の各種員会の代表は権限がある。
図書委員長等は図書室の管理を任されている。
しかし彼等を仕切っているのは副会長だった。
リーダーは生徒会長であるがその補佐をする副会長が常にすべてを把握している。
「近年、生徒の風紀が乱れて来ているのは知ってますか?」
「はい…」
「先日の入学式にその後の事もです」
あの時の事か。
「風紀委員がいる中あのような事件が起きた時に私は後悔したのです」
「副会長…」
「私は風紀を厳しくする事を迷っていました。生徒会が学園を支配するなどあってはならない」
過去に厳し過ぎる風紀により学園生活がすさんでいた事があった。
だからこそギリギリの中で踏ん張ってこられたのだろう。
「学園では平等と言いながらそんなのは建前、陰で苛め、嫌がらせは減るどころか増える一方です」
「先生方は何もなさらないのですか」
「生徒の問題は生徒で…覆す事はないでしょう」
いい様に言っているけど役目を放棄しているだけだ。
前前世の記憶を取り戻さなかったら私は受け入れていただろう。
だけど前前世の私は生徒を導く側の人間だった。
まだ未成年である子供にすべてを任せるなんて無責任だ。
これがこの世界のやり方たと言えど。
「心ある教師もいたのです。ですが権力の前では」
「学園長は…」
「庇い切れませんでした。学園長は下級貴族出身です」
初代学園長は、人徳者だったと聞くが。
権力の前では風前の灯なのは解る。
何時の時代も。
どの世界も同じなのかもしれない。
「だけど、私達は諦めていません。平民出身のキャンベルさんが代表生徒に選ばれました」
平民である彼女が代表生徒に選ばれる事。
それはある意味ではすべてをひっくり返すことだ。
副会長は彼女に希望を見出したのか。
だったら解らないわ。
どうして私を生徒会に入る事を望んだのか。
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