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第一章
16ヒロイン失格
しおりを挟む何所の世界に鼻水を誑して騒ぐヒロインがいるだろうか。
別に二十四時間ヒロインで色とは岩間いけど少しは周りの目を気にする事が出来ないのか。
「えっぐ、えっぐ…」
「いい加減泣き止んでくださる?私は一応病人なんですが」
「じびばぜっ…どうやって食べていいか解りません」
折角見舞いに来たのだからと両親は快く彼女を招き、お茶をする事になったのだけど。
「手で食べればいいのよ」
「こんな具が沢山のサンドイッチ食べた事ありません。外していいですか?」
「頭が痛いわ」
そうだ。
この世界の平民はいわば中世のヨーロッパ時代と考えるとパンは簡単なもの。
しかもサンドイッチは具はほとんど入っていないし。
「パンが…」
「そんな強く握るから」
「そうか、平民は黒パンだからな」
固いパンしか口にする事はない。
下級貴族でもパンは胡桃が入った満腹感のあるパンが多い。
彼等にとって食事はお腹が膨れるのが第一で味なんて二の次なのだから。
前々前世ではこう言ったサンドイッチは普通に食べていたけど。
ゲームではヒロインはマナーに関してはどうしていたのだろうか?
前世ではマナーに関して咎められていたわね。
もしかして教えてくれた人がいなかったとか。
高位貴族に囲まれていたのは、彼女自身も何も知らなくて、マナーを教える為に厳選された人材を傍につけていたとしたら?
「キャンベルさん、サンドイッチはフォークとナイフを使えば多少形が崩れても問題ありません」
「え?」
「特に外でこういったアフタヌーンティーを食べる時は周りの目もあるから気になさい」
このままだと色んな意味でも問題だわ。
マナーが悪ければSクラスにいる事も難しくなるし、何より光の魔力を持つ彼女の立場が悪くなれば王家に恥をかかせることになる。
「女性ならばマナーは覚えていて損はありません。貴女が王都に残らないのであっても、今後役に立つでしょう」
「はっ…はい」
…っていうか何で私がヒロインにマナー指導をしているの?
私にとって彼女は敵なのでは?
後の祭りだけど。
「くっ…くくっ!」
「何です?」
さっきから私をじっと見ながら笑っていらっしゃる。
「いや、楽しくてな」
「何をどうしたら楽しいのです」
楽しいって、何をどう見たら楽しいのか。
「思えばキャサリン嬢は最初から世話好きだったな」
「好きなわけではありません」
彼女に声をかけたのは成り行きだし、後はクラスメイトとしての社交辞令だっただけなのに。
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