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第一章

14守る為に

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婚約に関わった人達に手紙を送り、できるだけ周りに迷惑が掛からないように配慮してもらった。

その後に法律に触れないように徹底した。


「以前から聡明だと思ったけど、何処で手段を学んだのかしら」

「官僚もびっくりするほどの交渉術だな」


ごめんなさいお父様。
ここがゲームの世界であると知った事。

そして前々前世の知識もありからなんです。


「誰からも学ばずだなんて」

いいえ、実際に学びました。
皮肉な事に、前世で糾弾された時に婚約破棄で被害にあった貴族からの訴えもある。


同じ過ちを繰り返さないように今回は徹底した。
同時に演技力も身に着けた。


正論ではこの世は成り立たない。
オレリアは侯爵令嬢として正義感を前に出していたけど、正義感が人を傷つける。

そしてその堂々たる態度に傷つく人や嫌味に聞こえる人もいる。
だから他人は控えめにしておいた方がいい。


「今後生きていくためにも出る杭は打たれると学びましたの」

「何所でだ」

「行儀見習い時代と学園です」


嘘は言ってない。
絶対に嘘は言ってないのだから。

前々前世はずっと女子校だった。
女の園とは時にはとても恐ろしい場でもあった。

女の敵は女。
全てとは言わないけど、目立ちすぎると叩かれる。
かと言って周りに気を使い過ぎて下手に出てもダメだから。


ただこの世界では主観が異なるけど。


「お父様、私は貴族の奥様になるのではなく自分の力で生きたいと思います」

「それは…」

「大変な道になるのよ」


未だに男尊女卑が激しい世界だから解っている。
かなり険しい道であるけど、既に傷物令嬢となった私は真面な婚約話は来ないだろう。


「ここで妥協して変な男に領地を奪われたくありません」

「そこまで考えていたなんて…」

「本来ならばこのような選択は許されないのでしょうが」


我が家にとっても厳しい道だ。
お父様の表情はとても厳しかったけど譲るわけにはいかない。


婚約破棄になれば我がクレイン家の弱みに付け込む貴族は多いだろう。
商人貴族や、資産家の貴族は我が家の領地を狙うだろう。

作物が豊作で海に囲まれている。
領民の税も安い事で有名だったのだから。


「貴族令嬢には過酷だ。簡単に許すわけにはいかない」

「貴方!」

「…と言いたいが、お前が力を示せば問題ない」

お父様の言葉は遠回しであるけど取りようによっては。


「私はお前が幸福になれるなら良い。しかし私達だけではどうにもならない。フォーカス家はあの手この手を使って妨害して来るだろう」

「でしょうね」

「しかし、お前を出家させるのだけは避けたい」

「嫌ですわ。逃げるようではありませんか」


通常なら出家して逃げるのが確実だけど癪だわ。
何で私がそんな目に合わないとけいないの?

被害者は私なんだから。
泣き寝入りもしない、家族の幸せも守って見せるわ!


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