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第一章
7授業
しおりを挟む王立魔法学園は生徒に自主性を育むために授業も自分で自主学習が多い。
言い換えれば勉強をサボればその分落ちこぼれとなる。
特に特別科はテストが多い。
毎日テストに実習があるので多忙だ。
一般科はお昼過ぎに授業が終わるけど、特別科は夕方前まで授業がある。
実習の日は朝から夜までと過酷なスケジュールがある為、校舎から寮まで近いのは学園側の配慮だろう。
しかも授業中で先生に問題を当てられた時に応えられなかったら何かしらのペナルティーがあるのだけど。
「では次も問題を…」
「はい」
視線が合ったので私は席を立ち黒板を見上げる。
「パーフェクトだ」
「ありがとうございます」
「座って良い、では先程から舌打ちしていた君」
「え!」
席を変わった男子生徒だ。
私が当てられてニャニヤにしていたが、私が失敗しなかったので舌打ちをしていたのもしっかり聞こえていた。
「それから隣の君も間違えれば連帯責任だ。授業前にこの席は嫌だと文句を言っていたそうだね」
「でも、彼女が…クレインさんが席を無理矢理変わってくれと!」
「そうか?彼女は席替えの後にちゃんと許可を取っていたがね?目が悪いので席を変わって貰ったと」
「でも!」
確かに言った。
後で難癖付けられたくないから席を変わって貰った後に先生が見えたので報告した。
しっかり勉強したいからできれば先生の声が聞こえやすく黒板が一番見えやすい場所を。
「クレインさん、君は実に真面目な生徒だ。初日から勉学に真面目で、授業中もしっかりノートを取り、尚且つ予習をしており、既に理解しているのに慢心せず再度復習するとは」
「いえ…その」
「学びにこれ程精を出す生徒は少ない。皆も見習う様に」
すいません、私は既に前世で嫌と言う程習いましたなんて言えない。
同じ内容でも特別科のSクラスでは進み具合も違うから不安で必死になり過ぎているなんて言えない。
ついでに言えば、私は学業の成績でしかランク上げをできないからなんだと言えない。
そしてもう一つついでに言えばがり勉した方が絡まれないし目立つことがないなんて言えない。
「クレイン様は立派な方なんですね!」
「ははっ‥」
何これ。
私が想像していたのと違う。
「…がり勉が」
「ムカつく」
そして余計な反感を買う羽目になってしまったのは言うまでもない。
本当に何処で間違えたのか。
だけど、まだこの時は平和だったのかもしれない。
実害はなかったし、少し精神が擦り減る程度だった。
この後に待っているトラブルと、私がこの世界の時間に馴染めずにいた理由が解るまでは。
まだ平和だった。
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