伯爵令嬢の受難~当馬も悪役令嬢の友人も辞めて好きに生きることにします!

ユウ

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第一章

4異なる今

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一般科と普通科の後者は別だった。
王立学園では身分差別をしてはいけないが差別はある。


まずは高位貴族と下級貴族の粗末。
もう一つはクラスの優劣だった。


入学当初から既に優劣をつけられており、見下し視線はある。
陰口なんて日常茶飯事で。


「見て、中位貴族の癖に」

「ありえませんわ」

「どうせ勉強しかできないのよ」


聞こえているわ。


「あの程度の容姿じゃ勉強しかできないのよ」


悪かったわね、美しく無くて。


「おしゃれもしないで」

勉強しに来ているのよ。


「しかも魔力が低すぎて、使い魔なんて鳩と鼠ですって」


他人の使い魔を貶さないで欲しいわ。

「優雅ではないわ」

他人を悪く言う方が優雅ではないわ。


このようにちくちく嫌味を言うのだけど。


「本当に暇な人達」

この後勉強三昧、テスト三昧。
しかも授業はかなり厳しく、少しでも気を抜けがクラスを落され最悪退学になるのだから。


気にするだけ時間の無駄無駄。


窓際の席で一人無視を決め込み予習をすると。

「随分と難しい本を読んでいるな」

「は?」


この教室で私に話しかける生徒はいるはずがない。


「すまない。いきなり話しかけて驚かせてしまったか?」

「いえ…」

「読書の邪魔をして悪かったな」


金髪に透き通るのような青い瞳だった。
思わず見入ってしまう私に気づいたのか笑われる。

「あまり見られると恥ずかしいんだが」

「申し訳ありませんご無礼を」

「そう畏まらないで欲しい。噂通り真面目な姫君だな」

「はい?」

姫君なんて呼ばれるような立場じゃない。
なんせクレイン家は伯爵家であるが決して身分が高いわけじゃない。

中位貴族で領地は広いけど所詮は田舎だ。
他の領地と異なり食料は豊作でありながらも不便な土地で文明が遅れていると他所の貴族からは馬鹿にされている。


「フッ…流石賢者の姫君は控えめだ」

「あっ、あの…」

さっきから距離が近い。

「俺はフィルベルト・クレッセントだ」

私は固まった。
クレッセントと言われ私は目の前が真っ暗になる。


「失礼いたしました。殿下」

「ここではそれは無しだぞ」

「ですが、ご無礼を…」


私は今生では静かに生きよう。
そう決めていたのに、早々にしくじっているではないか。


よりにもよって王族の中で一番血筋が良い第二王位継承権をお持ちの方に無礼な。


今度こそ平和に波風立たずにと思っていたのに。
早々にやらかしてしまったと思った私は直ぐにその場から去りたいと思ったが。


「席に着くように」

最悪なタイミングで担任の先生が現れ難しくなった。








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