4 / 136
第一章
1巻き戻った時間
しおりを挟む馬車に乗り、学園に向かう。
景色を見ながら嫌と言う程見た風景に頭が痛かった。
「お嬢様、いかがなさいました」
「えっ?」
窓から景色をじっと見ていた私はエリーの言葉に動揺する。
もし私の仮説が正しければ時間が巻き戻っている。
でも何か違和感を感じる。
頭痛がまだ酷くて、それに現実を受け入れられないでいた。
「ピィー」
「あら?ついて来てしまったのね」
私の肩に止まる白い鳥。
前世の頃から可愛がっていたペットだ。
「ピースケ」
雛鳥なのだけど普通の鳥よりも大きい手乗りサイズだ。
「学園ではペット可能ですか、パートナーにするのは心もたない気がします」
「そもそも私は魔獣を従える程の強大な魔力を有していないわ」
私の通う王立学園では魔力が強い順で魔獣や竜を従えることができる。
入学式の後に鑑定を行った後にパートナーを決める。
その後も冒険家として登録をした後に、契約をして使い魔を得る事ができるシステムだ。
前世では私の持ち手の使い魔はピースケともう一匹。
「キュウ」
「まぁ、お嬢様。ハリーも連れて行くんですか」
連れて来た覚えはない。
また勝手に私のカバンの中に入っていたわね。
「ここまで来たら引き返せませんわね」
「そうね」
幸いにも二匹は小動物だから傍に置いても問題ない。
「お嬢様、やはり具合が悪いのではありませんか」
「大丈夫よ」
今から入学式に行くと思うと気が滅入る。
「お嬢様、やはり気が進まないのではありませんか」
「え?」
「いかに幼い頃からご友人と言えど。オレリア様の我儘の付き合うのは…」
我儘?
エリーは何を言っているのだろう。
「別にそんなことは…」
「オレリア様はあの通り気位の高いご令嬢で、正義感が強いのはいいのですが…他の方にも同じように求められていますし」
「えっ…」
オレリアは完璧な淑女として皆から慕われていたはずだ。
なのにエリーはオレリアに良い感情を持っていない?
他人を悪く言う性格じゃないのに。
それにロイド様もお嬢様と正式な婚約者となったというのに先日もお嬢様の約束をドタキャンしたではありませんか。
「将来近衛騎士になるのが目標だから」
「だとしてもです!」
ぷんすか怒るエリーはロイドの事を嫌っていなかったはず。
いや私は見えていなかったのかな?
「エリーはロイドが嫌いなの?」
「私は使用人でございます。好きだとか嫌いだとかそう言う感情を持つ事はできませんが…不信感がありますわ」
「えっと…どんな?」
ここまではっきり言うなんてどうして?
「お嬢様ではなくオレリア様を優先するのが納得いきません」
馬車が学園に到着するまでの間。
前とは違うと感じていた。
92
お気に入りに追加
2,879
あなたにおすすめの小説

【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
婚約「解消」ではなく「破棄」ですか? いいでしょう、お受けしますよ?
ピコっぴ
恋愛
7歳の時から婚姻契約にある我が婚約者は、どんな努力をしても私に全く関心を見せなかった。
13歳の時、寄り添った夫婦になる事を諦めた。夜会のエスコートすらしてくれなくなったから。
16歳の現在、シャンパンゴールドの人形のような可愛らしい令嬢を伴って夜会に現れ、婚約破棄すると宣う婚約者。
そちらが歩み寄ろうともせず、無視を決め込んだ挙句に、王命での婚姻契約を一方的に「破棄」ですか?
ただ素直に「解消」すればいいものを⋯⋯
婚約者との関係を諦めていた私はともかく、まわりが怒り心頭、許してはくれないようです。
恋愛らしい恋愛小説が上手く書けず、試行錯誤中なのですが、一話あたり短めにしてあるので、サクッと読めるはず? デス🙇
加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました
黎
ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。
そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。
家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。
*短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します
凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。
自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。
このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく──
─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる