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第一章
1巻き戻った時間
しおりを挟む馬車に乗り、学園に向かう。
景色を見ながら嫌と言う程見た風景に頭が痛かった。
「お嬢様、いかがなさいました」
「えっ?」
窓から景色をじっと見ていた私はエリーの言葉に動揺する。
もし私の仮説が正しければ時間が巻き戻っている。
でも何か違和感を感じる。
頭痛がまだ酷くて、それに現実を受け入れられないでいた。
「ピィー」
「あら?ついて来てしまったのね」
私の肩に止まる白い鳥。
前世の頃から可愛がっていたペットだ。
「ピースケ」
雛鳥なのだけど普通の鳥よりも大きい手乗りサイズだ。
「学園ではペット可能ですか、パートナーにするのは心もたない気がします」
「そもそも私は魔獣を従える程の強大な魔力を有していないわ」
私の通う王立学園では魔力が強い順で魔獣や竜を従えることができる。
入学式の後に鑑定を行った後にパートナーを決める。
その後も冒険家として登録をした後に、契約をして使い魔を得る事ができるシステムだ。
前世では私の持ち手の使い魔はピースケともう一匹。
「キュウ」
「まぁ、お嬢様。ハリーも連れて行くんですか」
連れて来た覚えはない。
また勝手に私のカバンの中に入っていたわね。
「ここまで来たら引き返せませんわね」
「そうね」
幸いにも二匹は小動物だから傍に置いても問題ない。
「お嬢様、やはり具合が悪いのではありませんか」
「大丈夫よ」
今から入学式に行くと思うと気が滅入る。
「お嬢様、やはり気が進まないのではありませんか」
「え?」
「いかに幼い頃からご友人と言えど。オレリア様の我儘の付き合うのは…」
我儘?
エリーは何を言っているのだろう。
「別にそんなことは…」
「オレリア様はあの通り気位の高いご令嬢で、正義感が強いのはいいのですが…他の方にも同じように求められていますし」
「えっ…」
オレリアは完璧な淑女として皆から慕われていたはずだ。
なのにエリーはオレリアに良い感情を持っていない?
他人を悪く言う性格じゃないのに。
それにロイド様もお嬢様と正式な婚約者となったというのに先日もお嬢様の約束をドタキャンしたではありませんか。
「将来近衛騎士になるのが目標だから」
「だとしてもです!」
ぷんすか怒るエリーはロイドの事を嫌っていなかったはず。
いや私は見えていなかったのかな?
「エリーはロイドが嫌いなの?」
「私は使用人でございます。好きだとか嫌いだとかそう言う感情を持つ事はできませんが…不信感がありますわ」
「えっと…どんな?」
ここまではっきり言うなんてどうして?
「お嬢様ではなくオレリア様を優先するのが納得いきません」
馬車が学園に到着するまでの間。
前とは違うと感じていた。
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