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序章

2最後の訪問者

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私の最期の願いを聞き入れてくれた両親は監視付きと言う事で彼女を部屋に入れてくれた。


学園で見た時と異なり髪の毛の手入れもまるでできていなくて。
手は労働の手だった。


服装は修道女の装いで、彼女は噂通り修道院に送られたのが解った。


王都の事も何も知らない私は外の事を聞きたいと告げ、彼女は快く教えてくれた。


廃嫡になった王太子殿下は地方に飛ばされた後に一代限りの伯爵位の地位を賜り領民に尽くしていると。

幸いにも、その領地は王都の醜聞は流れていない。
噂を寸前の所で止めたそうだ。


侯爵家に至っては親族と縁を切られたそうだ。
例え王太子殿下が浮気をしたとしても王家を糾弾する事は論外だと。


断罪事件に関与した貴族令息に令嬢も、噂に躍らせれ、真実の愛を求めた事で勘当されたとか。


「侯爵令嬢にいたっては…あまり情報はありません。ですが、キャサリン様の婚約者様とは上手く言ってないかと」

「何?」

「どういう事」

「私が追放の身になった後に私は修道女として二人をお見かけしたのですが…お二人共別のお相手がいらしたようで」


申し訳なさそうにする彼女に私はただ聞いているだけだった。
ようするにその時の空気に酔って勢いのまま駆け落ちをしたけど上手くいかなかったと言う事か。



言葉を選びながら話す彼女に私は違和感を感じる。
とてもじゃないけど婚約者のいる男性を奪うような悪女に見えない。


あの日の出来事を思い出す。







「君との婚約を破棄する」



私達が通う王立学園のパーティーで、王太子殿下は彼女を傍に置き婚約者に告げたのだ。


高位の貴族令嬢が婚約破棄を大勢の前で突きつけられるのは辛い事だろう。
傷物令嬢になるのは解りきっている。



そしてそんな真似をしたら王太子殿下も周りから責められるのにも関わらずあのような真似をしたのだ。


しかしそこで泣き寝入りしないのが我が親友だった。


「私との婚約を破棄するとはどういうことか解っていまして?」

「ああ、君の横暴な行動にはうんざりだ。罪のない生徒を苛めるとは」

「私はそのような振る舞いをしたつもりはありませんわ。ですが殿下がそのおつもりならば私はこの国を出ますわ。傷物になった以上は…」

「ならば私もお連れください」


「ロイド!」

「オレリア、私はずっと貴女をお慕いしておりました。ですが未来の王妃となる方と心を殺してまいりました」


大勢が見ている最中堂々と抱き合う男女。
はたから見れば駆け落ちし真実の愛を貫く姿だろう。


だが、私からしたらたまったものではない。
王家を糾弾しようとした後に侯爵令嬢は全てを捨てて国を出た。

あろうことにも私の婚約者がだ。
その後私が卒業前に晒し物になった後に婚約者の両親に責められた。


「何故止めてくれなかったの!」

「何をしていたんだ!」


私は先方の両親にこれ以上無い程責められ、この断罪劇で社交界の風紀は乱れてしまった。
そこから私の生活は一変し、責任を負わされる日々が続き。

当時は両親が王都を離れていた事もあり両親が王都に戻って来た時は手遅れだった。


過労で倒れて起き上がることもできず。
寝たきり状態になり、病を患ってしまったのだった。


その後、オレリアとロイドから連絡は全くなかった。
侯爵家は王家を見限ったという噂は聞き、貴族達は王家を見限ったという最悪な情報だった。


私は療養の為に両親と領地に戻ったが既に余命宣告をされたのだが。
後始末は全て終えた後だったのでその後の事は知らなかった。



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