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番外編
幼き女王の爪痕⑤
しおりを挟むその日、ある新聞記者により前代未聞の事件が発表された。
「ラセンドル帝国が共和国?」
戴冠式を控えた三日前。
世界各地にラセンドル帝国で暴動が起きた事により皇太子殿下が帝国民に反乱を起こされた後に逃亡の途中、虐殺されたとの事だった。
「疫病を流行らせ、敵国から勝利を勝ち取った非道な皇太子の最後…これは」
「悪い事はできなませんね。こんな真似をして」
「いや、噂は流れていたが…まさか真実とは」
別ルートでミカエルも情報を仕入れてたが、ここまで情報が外に漏れるなんて何があったのかと思った。
「ラセンドル帝国は黒い噂が多かったようですからね」
「メアリ、何か知っているのか?」
「私もミカエル様と同じで噂程度です」
「そうか…」
安堵するミカエルに罪悪感を覚えるも、真実を話す気はない。
(ごめんなさいミカエル様…)
影で動いていたティエルドやハインツの事を言えばミカエルは自分を責めるかもしれない。
特に少し前からラセンドル帝国を全力で潰す気でいた。
「メアリ、どうしたんだ?」
「いいえ、何でもありません」
ミカエルにこの真実を話す気はない。
裏で多くの人間が動いて手を回している事を。
そしてラセンドル帝国側がミカエルの命をも狙っていた事実は隠されていた。
全てを知らせる必要はない。
影で支えるのも王妃の勤めであるのだが。
「恐ろしいな」
「ああ…過去の経験がメアリを成長させたと思いたいが」
影で二人を見守っていた二人は冷や汗を流す。
ラセンドル帝国はメアリをこれ以上無い程怒らせ、破滅の道を選ぶ形になった。
何故なら帝国民が革命を起こしたとしても訓練を受けた騎士に叶うわけがない。
影から手助けした国がいるのだから。
「メアリに協力したのは正教公国…あの二人だ」
「ああ、悪しき存在として噂を流し、帝国民に奴等を滅ぼしても罪にならないと噂も流したからな」
「実際、潰れた方が平和の為だが」
メアリならばここまで強引な事はしなかったし、平和的な解決策を望んだはずだ。
「過去の裏切り、そして優しさだけでは守れないと思ったんじゃないか?」
「皮肉だな」
まだ幼く、王妃となるには若すぎる。
二人は頼もしいと思う反面、辛い選択をしたメアリを心配していた。
しかし――。
「ラセンドルの皇族達の拷問はどうしましょう」
「ワクワクしますね。電気椅子、逆さづりにして生皮を剥いでやりましょう」
二人の妻達はさらにえぐい事を考えていた。
「上には上がいたか」
「姫さんの冷酷さなんて可愛いもんじゃないか」
悪人顔のリーシアとギーゼラに頭を悩ませるのだった。
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