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番外編
幼き女王の爪痕③
しおりを挟むそれから数日後ラセンドル帝国内で不穏な噂が流られた。
五十年前にも流行った疫病が流行ったとの噂だったが、ラセンドル帝国がは隠していた。
「東の領地にて古びた療養所を見つけました」
「名ばかりね」
写真を見せられ、療養所と言われる施設は小屋のようで病人がいる環境ではなかった。
まるで牢屋のような療養所だった。
「まるで囚人のようね」
「療養所と言いながら始末する気でしょう」
ここ最近報告では帝国民の人数が減っている報告を受けた。
そしてもう一つ、帝国に出入りしていた商人の行方が解らなくなっている。
「病気にかかった者は療養所に送られた後に、人体実験や、人身売買にしているようです」
「病気になっても使える部位があるものね!解剖とかにも使えるわ」
やっている事が余りにも陰湿すぎる。
こうしてラセンドル帝国の金回りを良くしているのだろう。
そして数か月後、最悪な事件が起きる。
「メアリ、私の部下がラセンドルに潜伏中に恐ろしい事実が解った」
「え?」
「これを…」
手紙を見せられ内容を見ると恐ろしい事が書かれていた。
「捕虜となった者に疫病を感染させるなんて」
「戦略としては効率的だ。人間だけでなく動物にも…そうなれば」
戦争に勝つ為ならばどんな手を使っても良いと言う考えに怒りを覚える。
「だけど、こんな真似をして無傷でいられないわ」
「そこまで解ってないのだろう」
案の定、帝国は自分の策に溺れて今度は帝国が疫病に苦しみ始めた。
そして現在。
メアリとティエルドは犠牲になったラセンドル帝国の民を思うと不憫で仕方なかった。
「帝国民が哀れだわ」
「ああ…」
それ以降、対策をする為にこっそり動くも派手に動く事が出来なかった。
「私を利用して、何をしようとしているか解っています」
「何時かラセンドルを潰す気だった…その為に耐え忍んで来たんだ」
今この時が絶好の機会だった。
「既にラセンドル帝国内での疫病に感づいている国があります」
「一気に叩く時だ」
疫病に関しては隠そうとしているが、既に隠し通せない所まで来ている。
医師も感染してしまって病を治す者もおらず、宮廷医師の数も足りずどうする事も出来なかった。
そこで最近は頻繁にメアリにラセンドルに視察に来て欲しいと手紙が来ているが、その言い回しが脅迫に近かった。
断れば敵と見なすと進言している。
ラセンドル帝国の皇太子、キーナンからの手紙を握り潰すメアリは彼を最も忌むべき存在だった。
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