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番外編
若き王の事情②
しおりを挟むラセンドル帝国は四面楚歌だったが、油断でいない国だった。
このまま弱体化させるまで待っていたら何をしでかすか解らない。
平気で我が子を利用し殺す事もいとわない。
国民も帝国繁栄の為なら平気で犠牲にするような国だった。
既に選択権はない。
メアリを守るためにも、国を守る為にも。
苦悩するミカエルだったが。
「また悩んでますの?本当に情けないですわね」
「どうせ、数年後には王位を継ぐんですから問題ないのではありませんか?むしろ早い方が良いではありませんか」
リーシアとギーゼラはミカエルの苦悩も知らずにあっさり告げる。
「二人に相談したのが間違いだ」
「ユリウス」
友人に相談したが誰も解ってくれなかった。
「ミカエル。人生諦めも肝心だ」
「お前はどんどん諦めが早くなってないか」
「結婚と書いて諦めと悟った」
遠い目をするユリスの瞳からポロリと涙が零れた。
結婚してから相当苦労が多かった事が解り同情する。
「まぁ、なるようになるだろ」
「ハインツ・・・」
ソファーでくつろぎ呑気にしているハインツもユリウスに同感だった。
「姫さんは問題ないだろ?ああ見えてどっしり構えているからな」
「ああ…」
メアリは変わらないだろうとも思うが責任が重くなりメアリの負担が増える事を懸念していた。
「悲観する事もないだろう…このタイミングは悪くない」
「悪くない?」
「今のうちに邪魔な国を潰す為にも陛下は動かれるだろう。王位が変わる時に馬鹿な事を考える連中は多いからな」
過去にも先王が病に倒れたタイミングが国の存続の危機になっている。
生前退位ではない状況は危険だったのだ。
「陛下と王弟殿下がまだまだお元気ならばまだマシだろ…まか王家に手を出せば怖い悪魔がいるが。別名白い悪魔」
「失礼ですわよ。王家の剣に向かって…勇者か、英雄と言いなさい」
(いや、悪魔だろ)
ティエルドは騎士の鑑と言われるが、王家の為なら悪魔にもなる。
そして愛娘の為なら悪魔で済まされないのだから。
「まぁ、このタイミングが絶妙だ。勢いに任せた方がいいさ」
「ああ」
不安を抱きながらも今は外に他所の敵に弱みを見せるべきではないと思ったのだが、ミカエルは忘れていた。
簡単に国に攻める事は不可能な事を。
そして白の大魔導師がというものを理解しきれていなかったのだ。
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