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番外編

お転婆王女と苦労人皇子⑨

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現国王が倒れたと同時に王妃は呪詛により命を落とした。
国全体の結果が弱まった事もあり呪詛の力は強くなり、その力を乱用する者が増え続けた。


王家の権威は弱まり貴族派が勢力を増していく中、リーシアの立ち位置も変わり始めた。

王女となった後に貴族派達はこれ見よがしに王家に脅しをかけ、リーシアを取り込もうと考えた。


「間違っているわ!」


「リーシャ、落ち着け」

「この非常時に!」


贅沢三昧をする貴族達は呪いで苦しみ者達を救おうとしない。
中には黒魔術を利用したり、王都内の呪詛の力を利用して詐欺紛いな商売をする商人も増えて来た。


そして事態は最悪な状態になった。



「ダークエルフが呪いを受けたようだ」

「どうするのだ」

「しかし幸いではないか?これで恩を売れる」

「そうだ、弱まった時に交渉を持ちかけよう」



(腐っているわ!)


会議では貴族の半数が他民族である事から利益がなければ助ける必要ないと言う始末だった。

一番許せないのは呪いを利用して貴族達の有利なように交渉を持ち掛け、治癒を派遣しなくなった。


「もう許せない」

「止めろ」

「ユリウス、何故貴方が」


「留学だ」


隣国の皇子であるユリウスがしばらく滞在する事を知らされる。
アルフリート帝国側が友好国であるエレンデール王国を心配したと聞かされる。


「姉上のお節介だ」

「皇女様の…」


帝国の聖女とも呼ばれる程優れていると謡われている人物だった。


「特に今の現状でお前が暴れないか心配しているようだ」

「暴れるとはどういうことですの」

「そのままの通りだろ」


ユリウスが止めなかったら癇癪を起すのは目に見えていた。


「彼は人の皮を被った悪魔ですわ」

「相手にするだけ無駄だろ」

「他民族だからってあんな…」


この国を背負う側の人間とは思えなかった。
自分さえよければいいと言う考えが許せなかった。


「貴族の全てがあんな連中だと思うと許せませんわ」

「そんなんで大丈夫なのか」


ユリウスはリーシアの危うさに気づいていた。
王女となっても真っ向勝負を止めない不器用な性格は健在で、社交界で生きて行けるのか。


「私はあんな人間になりたくありませんわ」


「リーシャ…」


王女になってから変わってしまった者が多すぎた。
今までも媚びを売る物は多かったが、王女となってから欲にまみれた貴族が群がって来た。


そして王族の役目を果せと脅して来たのだ。
贈り物の中にはリーシアを意のままに操る麻薬に近い魔道具も入っていたのだ。


リーシアの心は日に日に弱って来た。


そんな時だった。


リーシアの心を救ってくれたのは。


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